ドロップシッピングは、事業を始めたばかりの起業家でも利益を上げやすいビジネスモデルです。ドロップシッピングを始めるのは完全に無料ではないものの、商品の在庫管理や注文処理の必要がなく、出費は販売商品の購入時に発生する程度のため、簡単かつ低リスクで運営できます。
ドロップシッピングの商品選びは、実はあまり難しいことではありません。ここでは、ドロップシッピングで売れる商品の見つけ方や選び方について紹介します。自分のビジネスに合った商品を見つける参考にしてください。
ドロップシッピングで売れる商品の見つけ方

TikTok(ティックトック)
20代後半~40代前半のミレニアル世代、10~20代のZ世代が商品を探す際に使用しているのがTikTokです。TikTok上で#購入品紹介や#便利グッズなどのハッシュタグで検索して、どのような商品が注目されているのかを確認できます。
たとえば日本では、アロマディフューザーやスマホリング、ワイヤレス充電器などを紹介する動画で万を超える「いいね」がついたものが複数あります。こうした人気のアイテムをドロップシッピングサプライヤーから購入し、流行に乗りたいTikTokユーザーをターゲットに販売して利益を上げましょう。
TikTokを通じて、アパレルや美容など自分が事業を始めたいと考えている業界の人々と交流したり、探索ページをチェックしたりするのもトレンドアイテムを見つける際に役立つでしょう。

マーケットプレイスのベストセラー
大規模なオンラインマーケットプレイスでは、数千のブランドから数百万のSKU(在庫の最小管理単位)が販売されています。Digital Commerce 360の調査(英語)によると、オンラインマーケットプレイスが2024年度の市場シェアの76.6%を獲得しています。市場シェアの大部分を占めることから、オンラインマーケットプレイスもトレンドアイテムや売れる商品を見つけるのに役立つでしょう。
マーケットプレイスで売れている商品を見つけるためには、Amazon(アマゾン)の売れ筋ランキングやEtsy(エッツィ―)のTop selling products(トップセリングプロダクツ)、楽天市場の総合ランキングなどのページが参考になります。各カテゴリーの上位商品やリアルタイムで売れ行きのよい商品には、特に注目しましょう。
また、Alibaba(アリババ)やNETSEA(ネッシー)などの卸売マーケットプレイスで検索するのも有効です。こうした卸売マーケットプレイスはカタログとしても機能しているため、見つけた商品をそのままドロップシッピングに活用できます。
Pinterest(ピンタレスト)のトレンド
Pinterestは、ユーザーが画像・動画を保存し、ほかのユーザーに共有できるSNSと検索エンジンを組み合わせたようなプラットフォームです。Pinterestトレンドを使用すれば、過去3ヶ月までに最も保存されたカテゴリーやアイテムを確認できます。ネットショップを通じて類似した商品を購入し、ドロップシッピングで販売するのもよいでしょう。
Centric Software(セントリックソフトウェア)
Centric Softwareは、市場の動きや人気の変化を詳しく調べることができる情報分析サービスで、ドロップシッピングの商品選びに役立ちます。Centric Softwareを使えば、検索データをもとにどんな商品が安定して売れ続けているのか、どれが一時的な流行なのかを見分けられます。競争相手の宣伝方法や商品デザインの変化を確認し、自分の販売戦略に活かすことも可能です。
さらに、過去のデータと最新の市場情報を組み合わせて分析できるため、無駄のない品揃えを計画できます。試験的に販売して反応を見ながら、効率よくビジネスを進めるのに役立つでしょう。
ドロップシッピング商品の選び方
需要を調べる
現在販売を検討しているアイテムに需要があるかどうかを調べます。調べる際に役立つのがGoogleトレンドなどのオンラインツールです。Googleトレンドを使うと、過去にどれぐらいの人がそのアイテムを検索しているのかを確認できます。上昇傾向にあるキーワードは需要が増加していることを示しているため、特に注意を払いましょう。
キーワード調査ツールを活用して、月間の検索回数を調べるのも効果的です。よく検索されている商品は、それだけ需要があると判断できます。
ドロップシッピングで販売したいアイテムが二つある場合は、以下の手順でGoogleトレンドを使って比較しましょう。
- Googleトレンドの探すにアクセス
- 「検索キーワードを追加」に調べたいキーワードを入力
- 入力したキーワードの右隣に現れる「比較」を選択してもう一方のキーワードを入力

こうすることで、人気度の動向や地方での比較結果などを確認できます。結果を見て、より人気のあるアイテムを販売するとよいでしょう。
競合を確認する
人気のあるニッチ市場は競争が激しくなります。こうした分野では、売れ筋商品に関連するキーワードで多数の事業者が有料広告を出稿するため、費用が高くなりがちです。
しかし、ニッチを見つける際、ほとんど開拓されていない市場をターゲットに定めると、誰も商品を購入しない可能性があります。このような分野で事業を始めても、高い利益を上げるのは難しいでしょう。
ドロップシッピングの商品選びにおいて、どのくらいの需要があれば良いのかといったはっきりとした指標は存在しません。競争の少ない・激しい分野のどちらが適しているのかは、ドロップシッピングで販売する商品によって異なるため、それぞれの利点や難点を理解して判断する必要があります。
以下に、競争の少ない分野と激しい分野それぞれのメリット・デメリットを挙げます。
競争が少ない分野
ドロップシッピングの商品選びにおいても、競合の少ないニッチ市場を狙うのは、効果的な戦略の一つです。
メリット
- 目立ちやすい
- 特定の商品に対するブランドとして知られることで、顧客ロイヤルティを築ける
- 競合他社の影響を受けづらい
デメリット
- 需要があまり高くない可能性がある
- 質より量のアプローチを取る必要のあるケースが多い
- 顧客獲得コストがかかる場合がある
競争が激しい分野
多数の競合が同様の商品を販売している場合、差別化を図ることが難しくなりますが、需要はあると判断できます。競合他社の価格を見て、競争する価値があるかどうかを検討しましょう。
メリット
- 需要が高い
- 仕入先の選択肢が多い
- 独自性があれば、相場より高価格で販売できる
デメリット
- 競合他社と差別化を図るのが難しい
- 利益率が低くても、価格で競争せざるを得ない場合がある
- マーケティングに注力する必要がある
ドロップシッピングサプライヤーを見つける
事業を成功させるために欠かせないのが、ドロップシッピングサプライヤーです。ドロップシッピングサプライヤーは商品の製造や梱包、顧客への発送などの業務を担当します。どのような商品を販売する場合でも、ドロップシッピングサプライヤーがいるかどうかを確認しましょう。
ドロップシッピングサプライヤーを見つける際は、次のプラットフォームが役立ちます。
- Alibaba.com(アリババ)
- AliExpress(アリエクスプレス)
- TopSeller(トップセラー)
- SUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)
- 卸の達人
重要なのは、信頼できるサプライヤーを選ぶことです。顧客のクレームはドロップシッピングサプライヤーではなく、事業者に寄せられます。クレームにつながらないように、採用する業者の口コミや最小注文数量などをあらかじめ確認しましょう。
サンプルを注文する
商品サンプルを注文して、品質を確かめましょう。品質のよいものは、高価格で販売できる可能性があります。
たとえば、ドロップシッピングサプライヤーが品質の異なる三つのレジスタンスバンドを取り扱っているとします。
- 商品サンプルA:原価300円で、品質のあまりよくないゴム製
- 商品サンプルB:原価600円で、品質の高いゴム製
- 商品サンプルC:原価900円で、持続可能なリサイクル素材で製造されたもの
利益を上げたい場合、原価の最も低いサンプルAが最適だと考えがちですが、消費者は価格が高くても高品質かつ「サステナブル」という付加価値のついた商品を選ぶ場合があります。
サンプルを使って市場調査や顧客アンケートを取ることで、ターゲット顧客が価格を優先するのか、品質を優先するのか、環境に配慮した製品を好むのかなどを把握し、高い利益率や売り上げにつながりやすい商品を選ぶことができます。
また、商品サンプルを注文することで、ドロップシッピングサプライヤーとの取引を直接体験できます。配達に関する連絡や開封体験などを顧客の視点に立って把握することができます。
ターゲット市場を調査する
ドロップシッピング用の商品選びでは、ターゲット市場の調査も大切です。ターゲット市場とは、商品を購入する人々のグループのことです。
ドロップシッピングで売れそうなアイデアを見つけた際は、ターゲット市場を調査して以下の項目を確認しましょう。
- ターゲットが商品を購入するかどうか
- ターゲットがどのように商品を見つけるのか(最適なマーケティングチャネルはどこか)
- ターゲットがいくら支払うのか
しかし、人々から率直な意見を得るのは難しいため、ターゲット市場の調査がうまくいかないことも考えられます。よくあるのは、ターゲット市場の調査のために自分の家族や友人に意見を求めるパターンです。「正直な意見を伝えると傷つけてしまうかもしれない」と事業者を気遣い、前向きな意見のみ伝えるケースは少なくありません。
こうした問題を避けるためには、以下のような質問をするとよいでしょう。
- この商品は、自分の生活や日常にどのような影響を与えますか?
- 問題を解決するために、現在使っているアイテムは何ですか?
- どの機能が最も役に立ち、どの機能が最も役に立たないと思いますか?
利益を計算する
商品の卸売価格と経費を差し引いた後、利益が残るかどうかを確認しましょう。よいビジネスアイデアであれば、商品を低価格で調達して、高価格で販売できます。
Shopifyの無料の利益率計算機を使って、ドロップシッピングサプライヤーから商品を購入し、梱包や発送の手数料を支払った後に残る金額を確認しましょう。たとえば、1,000円で商品を買って50%値上げして販売すると、利益は500円です。

利益を得る方法の一つは、低価格な商品を見つけて、できるだけ高価格で販売することです。しかし、この戦略を取る場合、できるだけ多くの商品を販売しなければならない可能性もあり、ブランドに愛着を持っている顧客に焦点を当てたビジネスモデルを築くのが困難になるでしょう。
持続可能で利益をより多く確保できるビジネスモデルを築くのであれば、ブランド構築に力を入れましょう。消費者は次のような特徴を持つブランドの商品に対して、通常より高い価格を払ってでも購入したいと考えます。
- 環境に配慮したもの
- 共感できるコミュニティがあるもの
- ブランドならではの魅力や価値があるもの
仕入れ価格や競合の販売価格が低かったとしても、自分のブランドに付加価値を持たせることで、こだわりを持つ消費者が好んで利用するネットショップを築けます。
まとめ
ドロップシッピングは、在庫を持たずに商品を販売できる低リスクのビジネスモデルです。ドロップシッピングビジネスの成功は、商品選びにかかっています。重要なのは、需要のある商品を見つけて、適切な市場で販売することです。
需要があるかどうかを調べる際は、TikTokやPinterestの投稿、Amazonや楽天市場のランキングなどからトレンドを把握するとよいでしょう。
適切な市場を見極めるには、競合分析やターゲット市場の調査を行い、需要が高い分野とニッチ市場のどちらが適しているかを判断します。ニッチ商品を取り扱う場合は、最初は同じジャンルの商品を3〜5個選び、販売するのがおすすめです。その中で売れ行きがよい商品に力を入れることで、成功する可能性を高められます。
信頼できるサプライヤーを選ぶことも大切です。サプライヤーを選んだら、サンプルを取り寄せて品質や梱包などを確認することで、顧客満足度を高められます。ブランドの価値を高めれば、高価格での販売も可能になるでしょう。
ドロップシッピングで売れる商品を見つけたら、低価格で簡単にネットショップを構築できるShopifyで販売をスタートし、ビジネスのアイデアがうまくいくかを試してみましょう。
よくある質問
ドロップシッピングに適した商品の特徴は?
- 需要がある
- 品質がよい
- 専門性が高い
- 趣味で使われている
- 高い利益率を見込める
- 競争があまり激しくない
- 信頼できるサプライヤーがいる
- サイズが大きい
- 重量がある
ドロップシッピングの商品選びで気をつける点は?
ドロップシッピングの商品選びでは、人気がある商品や需要のある商品だけを重視しないようにすることが大切です。人気や需要の高い商品は競合も多く、売り上げにつながりにくい可能性があります。ドロップシッピングで販売する商品を選ぶ際は、需要だけでなく競合の有無や利益率なども考慮するようにしましょう。
ドロップシッピングで成功しやすい商品の例は?
- コーヒー
- ジュエリー
- 衣類
- 書籍
- アクセサリー
2025年にドロップシッピングで売れる商品は?
- ペットキャリー
- 家庭用の清掃用品
- つけまつげアクセサリー
- スタンディングデスク
- ランニングマシン
文:Yukihiro Kawata