ネットショップの開設は、難しいことではありません。Shopify(ショッピファイ)などのネットショップ作成サービスを利用すれば、初心者でも魅力的なネットショップを素早く立ち上げることができます。在宅でできる副業を探している人や、自宅でお金を稼ぐ方法を見つけたい人にもネットショップはおすすめです。さまざまなネットショップ作成サービスの中から、料金、機能、サポート体制などを比較して自分に合ったものを選び、自分のストアを開設しましょう。
この記事では、ネットショップ開業におすすめのサービスを紹介し、自分のブランドに合うサービスの見つけ方、運営時に注意するポイントを解説します。
ネットショップを作る2つの方法

1. 自社ネットショップ
自社ネットショップとは、ドメイン取得からサーバー手配、サイト制作、運営までを自ら行う形態のECサイトを指します。
自社ネットショップを作成する代表的な方法には次があります。
- クラウド型EC構築プラットフォーム:クラウド上でネットショップを構築できるサービスを使用する方法
- オープンソース型ECシステム:無料公開されているCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)をベースにECサイトを構築する方法
- ECパッケージソフト:EC機能が組み込まれた既製のホームページ作成ソフトをインストールする方法。オープンソースのCMSがベースになっていることもあるが、保守やサポートが提供されているケースが多い
- フルスクラッチ:ゼロから自社ECサイトを構築する方法。高度なシステム開発スキルが必要
初めてネットショップを開業する場合、クラウド型EC構築プラットフォームを利用するのがおすすめです。ほかは専門的な知識が必要になり、費用も高額になります。
クラウド型EC構築プラットフォームであれば、専門知識がなくてもテンプレートを使って簡単にネットショップを開設できます。初期費用を抑えられるのも魅力です。例えば、クラウド型EC構築プラットフォームであるShopifyでStarterプランを選択した場合、月額750円で自社ネットショップを開業できます。システム管理やサーバーメンテナンスについてもプラットフォーム側が行うため、運営者はブランディングやマーケティングに注力できます。
自社ネットショップは独立したウェブサイトであるため、運営者は自ら検索エンジンの最適化(SEO)を図ったり、SNSで発信したりして、集客努力を積極的に行う必要があります。
2. モール型ネットショップ
モール型ネットショップは、1つのプラットフォーム上に多数のショップが出店・出品する形態のECサイトです。モール型ネットショップに出店している各ショップのページは、自社の独立したウェブサイトとしてではなく、あくまで大手のプラットフォームの一部として運営されます。Amazon(アマゾン)や楽天市場がモール型ネットショップに該当します。マーケットプレイスとも呼ばれます。
大手のモール型ネットショップに出店すると、モール本体のセールのおかげで、出店者自身が集客に力を入れなくても顧客を集めることができます。また、プラットフォーム側がセキュリティ対策やシステムのメンテナンスを行ってくれるため、出品者は商品の販売に集中することができます。
集客をしやすい一方で、モール型ネットショップは他のショップとの差別化が難しく、ブランドの認知度を上げにくいという欠点があります。ほかにも、競合の商品と並んで表示されることが多いため、競争力のある価格設定が難しいというデメリットがあります。
おすすめのネットショップ作成サービス8つ

1. Shopify

Shopifyは、世界中で利用されているクラウド型EC構築プラットフォームです。豊富なデザインテンプレートやアプリを活用して、初心者でも簡単にオンラインストアを開設できます。比較サイトのITreview(アイティレビュー)では、「機能の満足度」において特に高評価を得ています。多様で使いやすい機能が必要な人におすすめです。
多言語・多通貨対応で越境ECにも適しており、8,000種類以上のShopifyアプリで、自分のショップに必要な機能を追加できます。ビジネスの成長に合わせた拡張性があるため、趣味や小中規模事業だけでなく、大企業のネットショップまで対応でき、Shopify POSというシステムを使用すれば、実店舗をはじめとするマルチチャネル展開も可能です。
さらにShopifyでは、Shopifyペイメントという独自のEC決済が標準で利用できます。Shopifyペイメントを導入すれば、クレジットカードや各種オンライン決済の処理を手軽に行うことが可能となり、顧客に安全でスムーズな購入体験を提供できます。
- プラン:Starter、Basic、Shopify、Advanced、Plus
- 初期費用: 無料
- 月額費用: 3,650円(Basic、年払いの場合)
- 販売手数料:Shopifyペイメント利用時は0%
- 決済手数料: 3.55%(Basic、国内クレジットカード利用の場合)
- 商品登録数: 無制限
- サポート体制:チャット、メール、オンラインフォーラム、Plusの場合は電話サポートも(24時間年中無休)
- 独自ドメイン: 対応可能
2. BASE

BASE(ベイス)は、クラウド型EC構築プラットフォームです。スタンダードプランの場合、初期費用、月額費用無料で始めることができ、料金は販売手数料で支払います。直感的な操作性と豊富なデザインテンプレートが特徴です。月額費用なしで開始できるため、個人で手軽に始めたい人におすすめです。
- プラン:スタンダード、グロース
- 初期費用: 無料
- 月額費用:無料(スタンダードの場合)
- 販売手数料:3%(スタンダードの場合)
- 決済手数料:3.6%+40円(スタンダードの場合)
- 商品登録数: 無制限(1日の上限は1,000点)
- サポート体制:問い合わせフォーム(平日10:00~19:00)
- 独自ドメイン: 対応可能
3. STORES

STORES(ストアーズ)は、クラウド型EC構築プラットフォームです。ITreviewでは「導入のしやすさ」で特に高評価を得ています。すばやくネットショップを立ち上げたい人におすすめのサービスと言えるでしょう。48種類のテンプレートからオリジナルのネットショップが作れますが、カスタマイズできる範囲は限られており、細かな調整ができない点に注意が必要です。
- プラン:フリー、ベーシック、スタンダード、カスタム
- 初期費用: 無料
- 月額費用:0円(フリーの場合)
- 販売手数料:無料
- 決済手数料:5.5〜6.5%(フリーの場合)
- 商品登録数: 無制限
- サポート体制:電話、問い合わせフォーム
- 独自ドメイン: 対応可能(STORESネットショップ内での新規取得に限る)
4. makeshop

makeshop(メイクショップ)は、GMOインターネットグループが提供するクラウド型EC構築プラットフォームです。マーケティング支援機能が特徴で、SEOやSNS連携などの集客機能も充実しています。言語は日本語のみ、決済通貨も日本円のみのため、越境ECには適していません。国内の中規模から大規模なECサイト運営におすすめです。
- プラン:プレミアム、エンタープライズ
- 初期費用:11,000円(プレミアムの場合)
- 月額費用:13,750円(プレミアムの場合)
- 販売手数料:なし
- 決済手数料:3.19%~(クレジットカードの場合)
- 商品登録数:10,000点
- サポート体制:電話、メール、質問掲示板(回答は平日9:00~18:00)
- 独自ドメイン:対応可能
5. Eストアーショップサーブ

Eストアーショップサーブは、日本で25年の実績をもつクラウド型EC構築プラットフォームです。集客支援や運営代行など、ECサイト運営に必要なサービスをトータルで提供しており、サポート体制が充実しています。ただし、月額費用は比較的高額なため、中規模以上の事業者に適しています。
- プラン:4S、4G、4P
- 初期費用:30,000円
- 月額費用:25,000円(4Sの場合)
- 販売手数料:注文処理手数料として1受注あたり34円。その他、サーバー容量やアクセス量に応じて別途支払いが必要
- 決済手数料:3.5%~(クレジットカード決済の場合)
- 商品登録数:3,000点以上は追加料金。最大50,000点
- サポート体制:電話、メール
- 独自ドメイン:対応可能(Eストアーショップサーブでの新規取得か管理移転申請が必要)
6. Amazon

Amazonは、世界最大級のモール型ネットショップです。利用者数が非常に多いため、商品の露出度を高めたい人におすすめです。ただし、Amazonで出品する際には厳格なルールに従うことが求められます。
- プラン:小口、大口
- 初期費用:無料
- 月額費用:小口出品の場合は月額無料だが、販売1件ごとに100円の成約料が必要
- 販売手数料:商品カテゴリにより5%~45%
- 決済手数料:なし
- 商品登録数:49点以下(小口)、50点以上(大口)
- サポート体制:小口の場合はメールのみ。大口の場合、メールに加えて電話、チャット
- 独自ドメイン:モール型のため対応不可
7. 楽天市場

楽天市場は、日本国内で最大級のモール型ネットショップです。2024年5月のニールセンの調査によると、楽天市場の月間ユーザー数は6,000万人を超えています。知名度も高く、集客力やポイントプログラムは魅力的ですが、出店にかかる初期費用や月額費用が比較的高額なので、中規模以上の事業者におすすめです。
- プラン:がんばれ!、スタンダード、メガショップ
- 初期費用:60,000円
- 月額費用:25,000円(がんばれ!の場合)
- 販売手数料(システム利用料):パソコン経由売上高の3.5%~6.5%、モバイル経由売上高の4.0%~7.0%(がんばれ!の場合)。その他、システム保守費用として月間の売上高 0.1%、店舗ユーザー間のコミュニケーション機能であるR-Messeに月額3000円の支払いが必須。ポイントシステムやアフィリエイトシステムなどへの支払いも別途必要
決済手数料:楽天ペイ利用の場合2.5%~3.5%
- 商品登録数:10,000点(がんばれ!の場合)
- サポート体制:電話、メール
- 独自ドメイン:モール型のため対応不可
8. Yahoo!ショッピング

Yahoo!(ヤフー)ショッピングは、初期費用や月額費用が無料で始められるモール型ネットショップです。コストを抑えて出店できる点が魅力ですが、Amazonや楽天市場のような他のモール型ネットショップと比較すると、月間ユーザー数の面では劣っているため、商品の露出度を上げにくいことがデメリットです。
- プラン:なし
- 初期費用:無料
- 月額費用:無料
- 販売手数料:無料。ただし、ストアポイント原資負担として売上高の1%~15%、キャンペーン原資負担として売上高の1.5%、アフィリエイトシステムへの支払いが必要
- 決済手数料:3.24%(クレジットカードの場合)
- システム利用料:無料
- 商品登録数:無制限
- サポート体制:AIチャット、電話、メール
- 独自ドメイン:モール型のため対応不可
ネットショップ作成サービスの選定時に注意するポイント

決済手段
ネットショップでは、提供する決済手段が売り上げに大きく影響します。クレジットカード、銀行振込、PayPayなどの電子マネー決済など、幅広い決済方法に対応しているネットショップ作成サービスを選ぶことで、より多くの顧客ニーズに対応できます。逆に決済手段が限定的だと、顧客が購入を完了せずに離脱してしまう「カゴ落ち」の原因になり、販売機会を逃すことになります。
なお、決済手段を増やしたい場合、決済代行サービスを利用すると便利です。1つの契約で複数の決済方法を簡単に導入できます。
費用
ビジネスを長く続けていくためには、コスト管理が重要です。初期費用や月額料金、取引手数料などを確認したうえで、予算内で運営できるサービスを選びましょう。
ただし、単純な安さだけではなく、費用対効果も確認することが重要です。例えば、料金が多少高くても、サポートが手厚かったり、ショップ機能が充実していたりすると、長期的に見たとき効率的な運営が可能になります。自分のショップで特に重視したいポイントを明確にし、どこに投資すべきかを決定しましょう。
機能
ネットショップの目的に合う機能を備えたサービスを選びましょう。海外に商品を販売する越境ECへの参入を検討している場合は、多言語や国際発送に対応しているサービスが必要です。また、ギフト商品を扱うなら、熨斗やラッピングを選択できる機能、食品を販売するなら冷凍便・冷蔵便が選択できる機能が必要です。
ショップに必要となる機能を事前に洗い出し、それらを満たすサービスを選定しましょう。
事業規模
目標とする売り上げ規模に合ったECプラットフォームやモールを選びましょう。例えば、年商100万円以下を想定するなら、初期費用や月額費用が無料または安価なサービスを利用するとコストを抑えられます。
一方で年商数千万円以上を目指す場合、登録できる商品点数の多さや安定したサービス稼働、運営サポートが重要になります。多少コストがかかっても、実績と信頼性のあるサービスを選ぶことで、事業拡大時の運営のトラブルを避けられます。
セキュリティ
顧客の個人情報や決済情報を扱うネットショップでは、セキュリティ対策が不可欠です。セキュリティが弱いと情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まり、ショップの信頼性が低下します。
ECプラットフォームやモールを選ぶ際は、SSL(Secure Sockets Layer)暗号化技術や二段階認証などのセキュリティ機能が整っていることを確認しましょう。安全な環境を整えることで、顧客からの信頼が高まります。
ネットショップの運営時に注意するポイント

- 商品の販売に必要な届け出・資格
- 関税
- 著作権
- 確定申告
- 特定商取引法に基づく表記義務
商品の販売に必要な届け出・資格
ネットショップでは、販売する商品によっては特別な届け出や資格が必要です。取り扱う商品に必要な許可や資格の要件を開業前に必ず確認し、必要な手続きを済ませましょう。
例えば、自分で焙煎したコーヒー豆を販売する場合は、「営業届」が必要です。また、「食品衛生責任者」の資格を取得しておく必要があります。取り扱う商品によって必要な届け出や資格が異なるため、何が必要か開業前に確認することが重要です。
関税
海外から商品を仕入れる場合、関税を考慮する必要があります。商品の販売価格を決める際には、仕入れ商品本体の価格や送料に加えて関税も忘れずに計算に入れ、確実に利益が出せるような金額とすることが重要です。
関税率や課税条件は商品や輸入元によって異なるため、JETROのサイトなどで事前に確認しておきましょう。
著作権
ネットショップに掲載する写真や画像は、著作権の観点から問題のないものを使用する必要があります。許可なく他人の画像を使用すると法律違反になります。仕入れ先から使用許可を取得している画像か、自分で撮影した商品写真を使用しましょう。
特定の商品やサービスの写真ではなく、ウェブサイトの雰囲気や商品ジャンルのイメージとして画像を挿入したい場合は、著作権フリーの素材を扱うサイトなどから画像を選ぶのも一案です。
確定申告
ネットショップで得た所得が48万円を超えた場合や、副業としての所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。「青色申告承認申請書」を事前に提出し、青色申告を利用すれば最大65万円の控除を受けられます。
期限内に正しく申告することで追徴課税を防ぎ、スムーズな運営を続けられます。
特定商取引法に基づく表記義務
ネットショップでは「特定商取引法に基づく表記」の掲載が義務付けられています。これは消費者保護のためのもので、ショップ運営者の名称、連絡先、支払い方法、返品規定などの情報を明示するものです。法律を遵守し、適切な表記を掲載しましょう。
まとめ
ネットショップを開業する際には、自分のビジネスにあったネットショップ作成サービスを見つけることが大切です。決済手段、費用、事業規模、セキュリティや機能面など、さまざまなポイントを比較し、自分が無理なく快適に運営を続けられるサービスを選びましょう。
Shopifyは、小規模事業にも大規模事業にも対応する多様なプランがあり、自由にカスタマイズができます。ショップの成長に合わせてプランを柔軟に変更できるため、長く安心して運営が続けられます。ネットショップの立ち上げで迷ったときや、自分の事業に合ったサービスを探しているときは、まずShopifyを検討してみてください。
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よくある質問
自社ネットショップとモール型ネットショップの違いは?
自社ネットショップはドメイン取得からサーバー手配、サイト制作、運営までを自ら行う形態のECサイトを、モール型ネットショップはAmazonや楽天市場など、1つのプラットフォーム上に多数のショップが出店・出品する形態のECサイトを指します。
自社ネットショップは、デザインなどを自由に決めることができ、独自のドメインも設定できるため、自社のブランディングに最適ですが、SEOなどの集客努力が必要となります。一方、モール型ネットショップは、集客力が強い反面、自社ブランドの認知度を上げるのが難しく、価格競争が起きやすいのが特徴です。
自社ブランドを育てたい場合は、自社ネットショップの開設がおすすめです。
ネットショップの開設は初心者でもできる?
Shopifyなどのクラウド型EC構築プラットフォームを利用すれば、難しい知識がなくてもテンプレートに沿って簡単に開設できます。
無料と有料のネットショップ作成サービスの違いはなに?
月額費用・初期費用が無料のネットショップは、商品が売れた際に高めの手数料が発生するのが一般的です。一方、月額費用や初期費用が有料のネットショップサービスは、決済手数料が安く、越境ECに対応できる機能やシステムがより整っている傾向があります。
無料のネットショップ作成サービスを使った方がお得?
ネットショップを無料で作成できるサービスを使えばネットショップを初期費用・月額費用ゼロで手軽に開設できますが、こうしたサービスでは商品が売れるたびに高めの手数料が発生する場合が多いため、販売数や売上高によっては、月額費用が発生するネットショップサービスを使った方が利益が大きくなります。
事業の形態や規模に合わせて適切なサービスを選択しましょう。
文:Taeko Adachi