ネットショップを始めたいと思っても、「どの販売プラットフォームを選べばよいのか分からない」と悩む方は少なくありません。プラットフォーム選びをなんとなく決めてしまうと、商品コンセプトに合わないサイトデザインになったり、必要な機能が不足していたりと、後から運営に支障が出ることもあります。
本記事では、これからネットショップを立ち上げたいと考えている方向けに、初心者でも使いやすいものから多機能なものまで、厳選した9社のECプラットフォームを紹介します。あわせて、失敗しないプラットフォーム選びのポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ネット販売プラットフォームとは
ネット販売プラットフォームとは、オンライン上で商品を販売するためのECサイトを構築・運営できるシステムやサービスのことです。
商品登録や在庫管理、決済処理などの基本機能があらかじめ備わっており、プログラミングなどの専門知識がなくても、誰でも簡単にネットショップを開設できます。
ネット販売プラットフォームには、個人事業主向けのシンプルな構成のものから、企業向けに多機能で拡張性の高いものまでさまざまな種類が存在します。たとえば、国内販売に特化したものや、海外展開を視野に入れた越境EC対応型のプラットフォームなど、目的に応じて最適な選択が可能です。
ECプラットフォーム9つの比較
1. Shopify(ショッピファイ)

Shopifyは、充実した機能を低価格で利用できるECプラットフォームです。特に、スマートフォンやタブレットからの購入に対応したモバイルコマースへの強さが特徴です。
IT製品やクラウドサービスを比較できるITreview(アイティーレビュー)でも高ポイントを獲得しており、利用者の高い満足度が伺えるプラットフォームで、商品管理機能やショッピングカート機能など各機能も軒並み評判が良く、国内外問わず数多くの企業が利用しています。
コストを抑えながらも、高機能なネットショップを構築したい方や、モバイルユーザー向けの販売チャネルを重視したい事業者にとって、Shopifyは最適な選択肢といえるでしょう。
特徴
- 約200種類のテーマと呼ばれるデザインテンプレートから好きなものを選ぶだけでネットショップを簡単に開設できる
- HTMLやCSSの編集による高度なカスタマイズも可能
- 海外販売にも対応し、支払いも現地通貨で受け付けることができる
- 多彩な決済方法がある
料金
- Basicプラン:月額4,850円(月払い)、3,650円(年払い)
- Shopifyプラン:月額13,500円(月払い)、10,100円(年払い)
- Advancedプラン:月額58,500円(月払い)、44,000円(年払い)
※BasicからAdvancedまでは最初の3か月は月額150円などのキャンペーンあり
- Plusプラン:月額2,300USD/月
- 決済手数料:0.2~3.9%
2. BASE(ベイス)

BASEは、初期費用・月額費用0円でECストアを立ち上げたい人におすすめのECプラットフォームです。BASEのスタンダードプランは、商品が売れたときに決済手数料とサービス利用料のみを支払う料金体系となっており、コストを抑えたい多くの事業者がBASEを利用
してECサイトを立ち上げています。
特徴
- 抽選販売など顧客体験を高める機能が充実
- 「最近チェックした商品」や「おすすめ商品」などのレコメンド機能
- 最新情報や割引キャンペーンを伝えることができる「お知らせエリア」
- BASEで作られたショップでの買い物を楽しめるアプリ「Pay ID(ペイアイディー)」での集客
料金
- スタンダードプラン:
- 月額0円+初期費用0円
- 決済手数料3.6%~+40円
- サービス利用料3%
- グロースプラン:
- 月額16,580円(年払いの場合)+初期費用0円
- 決済手数料2.9%~
- サービス利用料0円
3. makeshop(メイクショップ)

makeshopは、専門的な知識がない初心者でも安心して始められるECプラットフォームです。多彩な集客ツールが用意されているため、それらの機能を活用しながら集客スキルも自然と身につけられる点は、EC初心者だけでなく成長志向の事業者にも魅力的と言えるでしょう。
特徴
- デザインテンプレートが豊富
- 充実の無料サポート体制
- Yahoo!ショッピングやLINEショッピングとワンクリックで連携できる「かんたん出品連携」
- 無料で利用できる海外販売機能
- SEO設定の一括管理機能
料金
- プレミアムプラン:
- 月額13,750円+初期費用11,000円
- 決済手数料3.19%~+makeshopペイメントの利用料金 月額1,650円
- エンタープライズプラン:
- 月額55,000円~+初期費用11,000円~
- 決済手数料3.14%~
4. STORES(ストアーズ)

STORESは、パソコンだけでなくスマートフォンからでもショップの作成が可能なネット販売プラットフォームです。専門的な知識がなくても直感的に操作できる設計で、初めてECサイトを立ち上げる方にも使いやすく、効率よく始められます。
また、無料プランに加えて、他サービスと比較して低コストで導入可能な有料プランもあります。初期費用を抑えてネットビジネスを始めたい方にとって、STORESは魅力的な選択肢です。
特徴
- フリープランでも使える機能が充実
- 「お知らせの配信・掲載」「再入荷通知」「FAQ(よくある質問)作成」「ギフト設定」など、運営をサポートする無料機能
- 48種類のデザインテンプレート
- 動画やバナー、売れ筋ランキングなどのパーツも自由に配置可能
料金
- フリープラン:
- 月額0円+初期費用0円
- 決済手数料5.5%〜
- スタンダードプラン:
- 月額3,300円(税込、初月0円)+初期費用0円
- 決済手数料3.6%~
5. 楽天市場

楽天市場は国内最大級のECモールで、戦略的に売り上げを伸ばしたい方や、強力な集客力を活用したい方に最適なネット販売プラットフォームです。日本国内のEC市場で約6兆円という流通総額を誇っており、他のプラットフォームと比較しても商品が目に留まる機会が多いのが魅力です。
特徴
- 専任のECコンサルタントによる運営のアドバイスや企画提案などのサポート
- 地方自治体や金融機関との提携にも注力しており、地域の特性に応じた支援が受けられる
- マーケティングに不安があってもコンサルタントの支援を受けながら、着実に成果を上げていくことが可能
- 圧倒的な集客力
- 「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」などの大規模セールイベントを定期的に開催しており、集客と売り上げを上げる機会が豊富
- 充実したポイントプログラムでリピーターを獲得できる
料金
- がんばれ!プラン:月額25,000円+初期費用60,000円
- スタンダードプラン:月額65,000円+初期費用60,000円
- メガショッププラン:月額130,000円+初期費用60,000円
- システム利用料:2~7%
- モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料:月間売上高の0.1%
- 楽天スーパーアフィリエイト:アフィリエイト経由の売り上げの2.6~5.2%
- 決済手数料(楽天ペイ利用料):月間決済高の2.5~3.5%
- ユーザーと店舗間のコミュニケーションを円滑にするR-Messe(アールメッセ)の利用料:3,000~5,000円
6. ショップサーブ

ショップサーブは、ECサイトのセキュリティ対策を重視したい方に最適なプラットフォームです。有人による運用監視体制を採用しており、稼働率は99.99%という高い安定性を誇ります。高度なセキュリティ対策により、トラブルによる機会損失を最小限に抑えた運営が可能です。サポート体制も充実しているため、EC初心者でも安心して販売をスタートできます。
特徴
- 過去の取引データを活用した不正受注検知機能や、クレジットカードの不正利用を防止する仕組み
- 専任の担当者が運営全般をしっかりサポート
- 商品ページの制作や集客プロモーションなども担当者に相談・代行依頼できる
料金
- プラン4S:月額25,000円(税別)、年払い275,000円(税別)+開通料30,000円(税別)
- プラン4G:月額65,000円、年払い715,000円(税別)+開通料30,000円(税別)
- プラン4P:月額145,000円(税別)、年払い1,595,000円(税別)+開通料30,000円(税別)
- 決済手数料:2.8~6.0%(一部プランでは要相談)
※このほか、商品数、サーバー容量、アクセス量に対する費用、顧客情報などを管理するCMR(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の利用料・開通料などが必要
7. イージーマイショップ

イージーマイショップは、商品画像や動画にこだわりたい人におすすめのECプラットフォームです。セット販売で平均注文額(AOV)をアップさせたり、サブスクリプションを始めたりすることもできます。
特徴
- 登録できる商品画像サイズは業界最高クラスの3MB
- フルHDを超える高解像度にも対応
- クリックなしでズーム表示できるため、商品の細部まで伝えることができる
- 1商品につき50枚以上の画像登録が可能なため、さまざまな角度から商品を紹介できる
- 動画の埋め込みも手軽で、製造工程や使用シーンを動画で伝えて説得力のある商品ページが作成できる
- 画面サイズに応じて商品一覧が自動で最適化されるテンプレートでスマホやタブレットに対応したサイトが作れる
- セット販売や頒布会など対応する販売形態が豊富
料金
- 無料版:
- 月額0円+初期費用0円
- 決済手数料5.0%+40円
- スタンダード:
- 月額3,900〜4,230円+初期費用3,300円
- 決済手数料1.57%+20円~3.57%
- プロフェッショナル:
- 月額8,700〜9,670円+初期費用3,300円
- 決済手数料1.57%+20円~3.57%
- カートプラン:
- 月額2,900〜3,120:円+初期費用3,300円
- 決済手数料1.57%+20円~3.57%
8. Adobe Commerce(アドビコマース)

Adobe Commerceは、B2C・B2Bの両方に対応しており、複数のネットショップを一元管理できる柔軟性の高いECプラットフォームです。
特徴
- 1つの管理画面で複数のストアを運用できる
- 在庫管理機能が充実しており、リアルタイムでの在庫の可視化と把握が可能で、商品の在庫切れを未然に防いだり、過剰在庫時にはセールを打ったりするなど、状況に応じた柔軟な対応ができる
- 実店舗とオンラインショップの連携に強い
- オンラインで購入した商品を店舗で受け取ったり、店舗で購入した商品を自宅に配送したりといった多様な配送オプションに対応可能
- AIによるレコメンド機能も搭載しており、ユーザーの関心や購入履歴に基づいた関連商品を自動で提案してくれる
料金
要問い合わせ(年間の流通取引総額と平均注文額に基づいて算出)
9. EC-CUBE(イーシーキューブ)

EC-CUBEは、自由度の高いネットショップを構築したい方におすすめのオープンソース型ECプラットフォームです。オープンソースとは、ソースコードが無償で公開されており、カスタマイズが自由にできるソフトウェアを指します。「どんな機能を持ったショップにしたいか」が明確な人ほど、その理想を形にしやすいサービスといえるでしょう。
EC-CUBEでは、テンプレートの編集やブロック単位でのデザイン調整など、細かな部分まで自分好みに変更できるのが魅力です。こうした高い柔軟性から、EC-CUBEは日本で最も利用されているオープンソースのECプラットフォームとして知られています。
特徴
- 商品検索・お気に入り登録・税率設定などの標準機能
- インストール後すぐにショップ運営を始められる
- プラグインを活用することで、売上集計やアクセス分析、メルマガ・クーポン配信、レビュー機能なども追加可能
料金
- 月額0円+初期費用0円
- クレジットカード決済手数料 利用する決済サービスによる
販売プラットフォームの選び方
販売プラットフォームを選択する際には、予算面と機能面の両面を考えながら検討しましょう。
予算面
販売プラットフォームにかけられる金額を割り出し、選択できるプラットフォームやプランを考えていきます。ECプラットフォームを利用する際には、以下の費用がかかります。
- 初期費用
- 月額料金
- 決済時の手数料
- サポート費用
- サーバーの利用費用(サーバーの管理機能がついていない場合)
個人でオンライン販売を始める場合、初期費用は数千円〜10万円程度、維持費は月額数千円〜10万円程度が目安です。
販売プラットフォームの予算は、売上高の2割以内に抑えることが推奨されており、これは「3・3・4の法則」や「1・5・4の法則」などの通販業界の考え方に基づいています。これらは、売り上げのうち4割を運営コストと利益に充てるという考え方で、手元に残る利益は、一般的に売上高の2割とされているため、コストは2割に収めるのが理想です。
予算が限られる場合は低コストかつ機能が充実したサービスを選び、余裕があれば理想の機能を備えた構築型プラットフォームの利用も検討するとよいでしょう。最初は小さく始めて、事業の成長に応じて予算や機能を拡張していく方針が現実的です。
機能面
機能面についても、よく確認したうえでECプラットフォームを選択すると、スムーズなサイト運営が実現しやすくなります。具体的には、以下のポイントを確認しましょう。
- 事業に必要な機能があるか
- 安全性が高いか
- カスタマイズ性が高いか
事業に必要な機能があるか
まず、自身のオンライン販売事業に必要な機能がそろっているプラットフォームを見つけるのが重要です。販売プラットフォームでは、主に以下の機能を利用できます。
- 商品の登録や検索機能
- 商品のお気に入り登録機能
- おすすめ商品の表示機能
- 商品レビュー
- 在庫管理
- カート機能
- 決済機能
- 配送管理
- マーケティング機能
- 分析機能
- お問い合わせ機能
ネットショップを成功させるには、自社のビジネスモデルに合った機能を備えたプラットフォームを選ぶことが重要です。
たとえば、ドロップシッピングを行う場合は、外部業者との連携や発注を自動化できる機能があると効率的です。Shopifyは連携用アプリが豊富でおすすめです。また、AmazonやYahoo!ショッピングなど複数の販路で販売する場合には、在庫を一元管理できる仕組みがあると、在庫切れやミスを防げます。
海外販売を考えている場合は、多言語表示や現地通貨対応、関税計算などに対応しているかも確認しましょう。さらに、商品表示の自由度やクーポン配信、レコメンド機能など、売り上げや利便性を高めるマーケティング機能の有無も比較ポイントになります。目的や将来の展開に応じて、柔軟に対応できるプラットフォームを選ぶことが、スムーズな運営と成長につながります。
安全性が高いか
ネットショップの取引では、利用者の個人情報を扱うため、セキュリティ機能が充実した販売プラットフォームを選ぶことが重要です。
特に以下のようなセキュリティ機能があるプラットフォームを選ぶと安心です。
- 2段階認証機能
- SSL暗号化通
- PCI DSS準拠(クレジットカード情報の適切な管理)
自分で一からネットショップを構築できる自由度の高いプラットフォームを選ぶ場合は、セキュリティ対策も自分で行わなければならない可能性があります。その際は、利用するサーバーの保護やアクセス制御などを行いましょう。
カスタマイズ性が高いか
カスタマイズ性が高い販売プラットフォームを選ぶのも有効な手法です。カスタマイズ性が高いプラットフォームなら、サイトデザインを事業に合わせて調整し、さまざまな機能を追加して利便性を高められます。
たとえば、Shopifyでは、以下のようなカスタマイズができます。
- 8,000種類以上のアプリから必要な機能を追加
- Liquid(独自言語)を用いた自由な機能開発
まとめ
ネット販売プラットフォームを選ぶ際は、予算やカスタマイズ性・安全性などの機能を考慮することが重要です。適切なプラットフォームを選ぶことで、ネットショップの運営が効率化され、売り上げや顧客満足度の向上が期待できます。
Shopifyは比較的低コストで利用できるだけでなく、初心者でもブランドや商品のコンセプトに適したサイトデザインに仕上げられたり、海外販売ができたりするなど、多様なニーズに応えられます。無料体験も実施していますので、ぜひ一度お試しください。
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よくある質問
ECプラットフォームとは?
ECプラットフォームは、ネットショップの構築・運営に必要な機能がそろったシステムで、商品登録や在庫管理、決済処理などを効率よく行えます。専門知識がなくても使いやすいものが多く、個人から企業まで幅広く活用されています。
ビジネスの規模や目的に合わせて、最適なプラットフォームを選ぶことが、ネットショップで成功する近道になるでしょう
おすすめの通販プラットフォームは?
- Shopify(ショッピファイ)
- BASE(ベイス)
- makeshop(メイクショップ)
- STORES(ストアーズ)
- 楽天市場
- ショップサーブ
- イージーマイショップ
- Adobe Commerce(アドビコマース)
- EC-CUBE(イーシーキューブ)
文:Takumi Kitajima イラスト:Rachel Tunstall