プリントオンデマンド(POD)サービスを活用したオリジナルTシャツの販売なら、特別な設備を持たなくてもビジネスを始めることができます。その手軽さから、ネットで稼ぐ方法としても注目を集めています。
プリントオンデマンドサービスは、越境ECに強いものや、国内展開を中心にしているものなど、それぞれの特徴があります。中でもドロップシッピング対応のサービスなら、在庫を持つ必要がないため、費用を抑えながらオリジナルTシャツを販売できます。
この記事では、Tシャツ販売ができるプリントオンデマンドサービスと、その販売方法を紹介します。
おすすめのプリントオンデマンドTシャツ会社
プリントオンデマンドでTシャツを販売するなら、注文が入ってから印刷・発送を自動で行ってくれるドロップシッピング対応のサービスがおすすめです。ここでは、在庫を持たずにTシャツビジネスを始めたい人に向けて、ドロップシッピングに対応している主要なサービスを紹介します。
1. Printful

Printful(プリントフル)はアメリカ発の大手プリントオンデマンドサービスです。グローバルな出荷ネットワークを活かした越境ECにも対応しており、ブランドの国際展開も視野に入れたストア運営が可能です。
PrintfulでTシャツを販売する場合、商品の製造・発送はすべて自社ブランド名義で行われます。オリジナルのネームタグや配送用ラベルなどにも対応しており、ブランド独自の開封体験を提供でき、ブランドイメージの向上やリピーターの獲得につなげやすいのが特徴です。
Shopify(ショッピファイ)との連携が非常にスムーズで、デザイン作成ツールを使ってデザインを登録したら、Shopifyのストアにも商品情報をそのまま登録することが可能です。
- デザインツール:あり(無料)
- サービス内マーケットプレイス:なし
- Shopify連携:公式アプリあり
- 販売エリア:海外中心(国内にも展開可能)
2. Gelato

Gelato(ジェラート)はノルウェー発のオンデマンド印刷ネットワークです。世界32か国の提携印刷拠点の中から顧客に近い場所で生産・発送するという仕組みで運営しています。現地生産という観点から、サステナブルで環境に優しいビジネスであると言えるでしょう。
Tシャツの種類も豊富で、ユニセックス・レディース・キッズ向けなど多彩なボディが選べるため、ターゲットに応じたラインナップが構築しやすく、ブランドイメージに合わせた展開が可能です。
Shopifyとの連携は簡単で、公式アプリを通じて1クリックでストアと接続できます。注文が入ると、Gelatoが自動的に印刷・発送処理を行い、追跡番号の登録まで対応してくれます。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:なし
- Shopify連携:公式アプリあり
- 販売エリア:海外中心(国内にも展開可能)
3. オリジナルプリント.jp

オリジナルプリント.jpは、国内販売に特化したプリントオンデマンドサービスです。日本語でのサポート体制が整っており、国内配送の安心感を重視したい人に適したサービスです。
オリジナルプリント.jpの会員であれば、Shopifyストアとアカウント連携することで、オリジナルプリント.jpで登録したアイテムをワンクリックでShopifyの商品として反映させることができます。販売後のアイテムの手配や発送も自動化されており、在庫管理不要・完全受注生産型のビジネスモデルを、スムーズに実現できます。
国内向けブランドを展開したい個人事業主や中小事業者におすすめのサービスです。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:なし
- Shopify連携:公式アプリあり
- 販売エリア:国内中心
4. paintory

paintory(ペイントリー)は、日本国内で完結するプリントオンデマンドサービスです。発送拠点も国内にあるため、日本国内で丁寧なブランド運営をしたい人にとって、魅力的なサービスと言えるでしょう。
paintoryの強みは、セレクトショップでも販売されている品質の高い製品をボディとして採用しており、カラーバリエーションも豊富な点です。ブランドタグや刺繍などにも対応しているため、独自の世界観を反映したTシャツを制作できます。
Shopifyと連携すると、paintoryで登録した商品をShopifyストアに自動反映できるほか、受注から配送までのプロセスを自動化できます。
高品質のオリジナルTシャツを販売したい人や、販路を集約しながら一貫したブランド体験を提供したい事業者におすすめです。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:なし
- Shopify連携:公式アプリあり
- 販売エリア:国内中心
5. SUZURI

SUZURI(スズリ)は、GMOペパボが運営する日本発のプリントオンデマンドサービスです。アーティストやイラストレーターを中心に支持されています。SUZURIの強みは、その認知度の高さです。176万人以上の会員数を抱えており、独自のマーケットプレイスも展開しているため、商品ページへのリーチ数の確保を期待できます。
また、スタッフによるプロモーションや、クーポン・セールなどのキャンペーンも実施しており、販促サポートも充実している点も魅力的です。価格設定の自由度が高いのも特徴であり、販売者はアイテムごとに設けられた「トリブン(利益)」を自由に決めることができます。
集客力と販促支援を活かしながら、利益を求める販売がしたいと考えるクリエイターにおすすめのサービスです。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:あり
- Shopify連携:公式アプリなし
- 販売エリア:国内中心
6. UP-T Market

UP-T Market(アップティー・マーケット)は、日本国内のプリントオンデマンドサービスです。UP-Tに登録したTシャツは、UP-T Market上で一般公開され、購入されたタイミングで自動的に製造・発送されます。出品者は在庫を持つ必要がなく、手間をかけずにTシャツビジネスをスタートできます。
UP-Tの大きな特徴は、モール型マーケット内での集客機会も得られる点です。SNSへの共有機能や、ランキングページなども用意されており、はじめてオンライン販売に挑戦する人にとっても、集客の入り口を広げやすい仕組みとなっています。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:あり
- Shopify連携:公式アプリなし
- 販売エリア:国内中心
7. pixivFACTORY

pixivFACTORY(ピクシブ・ファクトリー)は、イラスト投稿サイト「pixiv(ピクシブ)」と連携したプリントオンデマンドサービスです。Tシャツだけでなく、トートバッグやマグカップ、アクリルスタンドなど、クリエイター向けに豊富なアイテムを取り扱っており、自作のイラストをもとに手軽にニッチな商品を制作・販売できます。
イラストやキャラクターコンテンツとの相性がよく、イラストレーター・漫画家の同人活動やクリエイターブランドの展開に適しています。商品登録から販売までの操作がシンプルで、自分のpixivアカウントと連携してそのまま出品できるのが特徴です。Shopifyストアと併用することで、より本格的なブランド展開や海外販売を目指すことができます。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:あり(pixivと連携)
- Shopify連携:公式アプリなし
- 販売エリア:国内中心(海外も可能)
8. T-SHIRTS TRINITY

T-SHIRTS TRINITY(ティーシャツトリニティ)はTシャツに特化したプリントオンデマンドサービスです。
T-SHIRTS TRINITYのサイトには独自のマーケットプレイスが用意されており、登録したTシャツを自動的に掲載してもらえる点が特徴です。ランキングや、スタッフによる特集などのコーナーもあり、商品の露出機会を広げやすいため、個人クリエイターでもファンを獲得できるチャンスがあります。
アイテムごとにレイアウトを細かく調整できるほか、ベースアイテムが安く、価格設定が自由なので、ブランドとしての世界観を維持しながら価格戦略を立てることも可能です。
手軽に販売したい人や、販売と製造の手間をできるだけ減らしたい人にとっては、非常に始めやすいサービスです。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:あり
- Shopify連携:公式アプリなし
- 販売エリア:国内中心
9. Zazzle

Zazzle(ザズル)は、全世界3000万人以上のユーザーを誇る、アメリカ発の大手プリントオンデマンドサービスです。世界中のユーザーに向けて販売できるため、英語圏を中心にグローバルな販路を持ちたいクリエイターにおすすめのプラットフォームです。
クリエイターはZazzle内に自分のストアページを持つことができ、商品が購入されるたびにロイヤリティ収入を得られます。また、カスタマーサービスはZazzleが請け負っているため、対応コストを削減できるといったメリットもあります。
- デザインツール:あり
- サービス内マーケットプレイス:あり
- Shopify連携:非対応
- 販売エリア:海外中心
プリントオンデマンドTシャツを販売する4つのステップ
1. 売りたいジャンルとターゲットを決める
まずは「どんなTシャツを、誰に売るか」を明確にしましょう。例えば、猫好きに向けたユニークなデザイン、スポーツチーム向けの応援Tシャツ、アート作品のような1点ものなど、ジャンルを絞ることで差別化しやすくなります。
また、「どこで売るか」を考えることも大切です。日本国内に限定するのか、それとも海外ユーザーにも届けたいのかによって、使うべきプリントオンデマンドサービスも変わってきます。たとえば国内配送に強いオリジナルプリント.jpやprintory、海外展開を見据えるならPrintfulなど、ターゲットエリアに合わせてサービスを選びましょう。
2. 印刷するTシャツとサービスを選ぶ
次に、使うTシャツの種類とプリントオンデマンドサービスを選びます。Tシャツの素材やサイズ感、カラーバリエーションなど、ブランドのイメージに合ったものを探してみましょう。
対応しているTシャツの種類や印刷方式、納期、価格、海外発送の可否などは、サービスによって異なります。この記事で紹介した各サービスの特徴を比較しながら、自分の販売スタイルに合ったものを選びましょう。
3. Tシャツのデザインを作成する
販売の要となるのが、Tシャツのデザインです。手描きのイラストやタイポグラフィ、写真のコラージュなど、アイデア次第で表現の幅は無限に広がります。
デザインに自信がなくても心配はいりません。多くのプリントオンデマンドサービスには、直感的に操作してモックアップを作成できるTシャツデザイン作成アプリが用意されており、テンプレートやフォント、スタンプを組み合わせるだけで魅力的なデザインを作ることができます。また、本格的なブランド展開を目指す場合は、プロのデザイナーに依頼するのもひとつの方法です。
4. 販売用のECサイトを構築する
デザインと商品がそろったら、商品ページを掲載するためのECサイトを構築します。
プリントオンデマンドサービスでは、独自のマーケットプレイスが用意されていることもあります。コストや手間を抑えて、気軽に販売したい方に適した販売先です。
本格的なブランド構築を考えているのであれば、ネットショップ作成サービスを使って、自社ストアを開設することをおすすめします。ブランドイメージを反映したストアを開設することで、顧客にブランドや商品が持つ世界観を伝えることができ、他社との差別化を図ることができます。Shopifyであれば、一部のプリントオンデマンドサービスとスムーズに連携できるので、運営の効率化も可能です。
自身のビジネススタイルに合わせた販売先を選択しましょう。
まとめ
プリントオンデマンドのTシャツ販売は、自分のデザインを手軽に商品化できる魅力的なビジネスです。ドロップシッピング対応のサービスを利用することで、在庫リスクを避けられるため、コストを削減しながらビジネスを運営できます。
プリントオンデマンドサービスは、販売エリア、連携機能、Tシャツの品質など、それぞれ特徴が異なります。自分のブランドや目的に合ったサービスを選ぶことが、オリジナルTシャツ販売を成功に導く鍵となります。
よくある質問
Tシャツのデザインはどうやって作る?
プリントオンデマンドサービスで提供されているデザインツールを使えば、オリジナルのデザインを簡単に制作できます。操作性の高いオンラインデザインツールが用意されていることが多いため、テンプレートやフォント、スタンプ素材などを使って、デザインしてみましょう。
プリントオンデマンドで海外にTシャツを販売することはできる?
はい。PrintfulやGelatoなど、海外販売に対応しているプリントオンデマンドサービスを使うと、Tシャツの海外販売ができます。海外展開を視野に入れる場合は、グローバルな配送ネットワークを持つサービスを選ぶと安心です。
プリントオンデマンドのTシャツ販売に初期費用はかかる?
プリントオンデマンドのTシャツ販売は、ドロップシッピングに対応しているサービスを使えば、在庫を持たずに始めることができるため、初期費用をほとんどかけずにスタートできます。デザインは無料のツールでも可能ですし、Tシャツの印刷や発送は、注文が入ってから自動で行われるしくみなので、在庫を抱えるリスクもありません。
ただし、独自のECサイトを構築する場合は、ECプラットフォームの利用料、有料のアプリや独自ドメインの利用など、別途費用が発生します。
文:Taeko Adachi