ネットショップを開業したてのときは、初めての売り上げを出すことが高い壁のように感じられ、不安に思うかもしれません。しかしそれは、ビジネスを成長させていくうえで避けては通れない第一歩です。効果的なビジネスの宣伝方法は数多くあり、つかめるチャンスも無限に広がっています。
ネットショップを立ち上げるとなると、多くの場合、ECサイトのディテールにこだわり始め、配色やフォント、レイアウトを決めるのに長い時間を費やしがちです。ですが、デザインを迷う代わりに、ECサイトの集客に直結することに時間を割くべきです。予算が限られている場合は無料で広告を出す方法を試すことができますし、ネットショップの集客力を上げる方法とツールは実にさまざまなものがあります。
この記事では、ネットショップを開設したけど売れない、まだ誰も買ってくれないという時にすぐに試せる12の対策を紹介します。
費用をかけずに集客する方法

ECサイトを立ち上げたら、まず取り組むべきはアクセス数を増やすことです。サイト流入を増やすことができれば、そのなかには商品を買ってくれる顧客もいるはずです。最初のうちは、無料で利用できる集客手段を活用してみましょう。
1. 知人へ告知する
最初の顧客はたいていの場合、友人や知人であるものです。ぜひ、ためらわずに自分のSNSアカウントでネットショップを開業したことをシェアしましょう。
自分のプロフィール欄には、ネットショップへのリンクを張っておきます。オンラインでのあらゆるやり取りが、サイト流入を増やすチャンスだと考えましょう。
また、友人にEメールを送り自分のネットショップを開業したことを伝え、他の人にもネットショップの情報をシェアしてもらうようお願いしてみるのも大切です。購入せずとも、友人の新しい挑戦をサポートできるとなれば、応援してくれる人がいるかもしれません。
その他に、事業内容と関連性があるオンラインコミュニティを探し、参加してみましょう。関連のあるFacebook(フェイスブック)グループや、取り扱う商品に関連するニッチなコミュニティがあれば、自分のネットショップを紹介する良いチャンスです。ペット用品やクロスカントリーなど、特定の分野に特化したビジネスでは特に、この方法が有効です。
開業前から時間をかけてフォロワーを獲得しておけば、潜在的な顧客をすでに得ていることになります。商品開発の際には、そのフォロワーから意見を聞くこともできます。
たとえば株式会社キングジムと株式会社ロフトの共同開発の「円周率ノート」は、フォロワーの声が発端となり、生まれた商品です。キングジムの公式X(エックス)アカウントで社員が「新商品開発の会議で円周率ノートが却下されてしまった」とつぶやいたところ、フォロワーからたくさんの「欲しい!」という声が寄せられました。さらにそれを見たロフトの担当者が商品化を提案し、限定販売を開始するとあっという間に売り切れ、大ヒット商品となりました。この大ヒットは「雑学罫線ノート」というシリーズ化にまで発展しました。
ネットショップを開設したが売れないという状況にあるなら、Shopify(ショッピファイ)のオンラインコミュニティに参加して、経験のある起業家からアドバイスをもらうのもよいでしょう。以下のようなコミュニティがあります。
2. 割引を提供する
新規顧客を対象にしたディスカウントコードを発行して、ネットショップに訪問してもらいましょう。また、お買い得なセット商品やタイムセール、無料特典といった手法も、初めてショップを訪問した顧客が魅力的に感じてくれます。
アフタヌーンティー公式ブランドサイトでは、サイトの閲覧だけで終わらせず購入に至るようにキャンペーンを実施しており、新規会員を対象とした500円分のクーポンを提供しています。
ただしこうしたキャンペーンは、むやみに繰り返すのではなく、顧客のニーズや興味に合わせたメッセージを発信することが重要です。
3. 検索結果の上位表示をねらう
自分のECサイトが検索結果の上位に表示されるように、SEO対策を行いましょう。SEOとは「search engine optimization」の略で、「検索エンジン最適化」と訳されます。
SEO対策は、潜在的な顧客がどんなキーワードで商品を探しているかを調査することから始めます。そして、そのキーワードを組み込んだコンテンツ、例えば商品の使い方や魅力を紹介するブログや動画を作成します。これにより、検索上位に表示される確率が上がるだけでなく、潜在的な顧客がECサイトを閲覧した際の満足度も上がります。
オーダーメイドのパジャマを販売するネットショップ「つくるパジャマ」は、2018年にオープンしました。1年目は月商数十万円でしたが、翌年からブログを中心としたSEO対策や商品ページの改善などを実施し、わずか1年で月商が約10倍にまで伸びました。
有料広告の掲載

予算に余裕がある場合は、有料広告の掲載も検討する価値があります。桁違いに多くの消費者の目に触れることができます。
有料広告の費用は一般的に、クリック単位で計算されます。予算を設定しておけば、誰かがクリックするたびに課金され、その上限に達するまで広告が表示される仕組みです。
Web広告は数多くの種類があり、それぞれ特徴も異なるため、自分のブランドのターゲット層に合った広告媒体を選ぶことが重要です。例えば、特定の国に向けて広告を配信するなら、その国で最も使われているSNSは何かを事前に調査しましょう。
また、Facebook広告やInstagram(インスタグラム)広告、Google広告などのオンライン広告を利用する際は、まず自分のECサイトやSNSアカウントの内容を充実させておくことも重要です。
4. Facebook広告
Facebookは今も世界で最も人気のあるSNSであり、年齢、収入、性別、地域を問わない多様なユーザー層を持っています。
Facebookに広告を掲載するなら、「オーディエンスインサイト」ツールを利用することで、最適なターゲットユーザーをつきとめられます。Facebookのオーディエンスインサイトは、FacebookページやInstagramアカウントのフォロワー、コンテンツを見た人の属性や興味についてのデータを分析し、より詳細にオーディエンスを把握できる無料のツールです。
例えば、キャンプ用品レンタルのECサイトを運営している場合、Facebookのキャンプ好きが集うグループに参加しているユーザーや、大自然の写真に「いいね!」を押したユーザーが最適なターゲットユーザーと言えるでしょう。
国内外に展開する健康食品ブランドの京都やまちやは、ウェブサイト訪問者と商品購入者を対象にリターゲティング広告をFacebookニュースフィードとInstagramストーリーズで配信しています。販売戦略などの改善と併せて、買い物カゴへの追加が2.8倍になるという成果を得ました。
5. Instagram広告
Instagram広告は、フォローしたアカウントの投稿が流れるフィード画面に配信されるため、自然な形でターゲットユーザーの目に触れさせることができます。
実際に使用している様子を撮影し作成した動画などを広告として掲載できるので、情報価値やエンターテインメント性のあるコンテンツを提供しながら、ブランドや商品の宣伝をすることができます。広告だけでは考えずに、自社のアカウントで継続的に投稿していくことも、インスタマーケティングで数多くのユーザーにリーチするための重要なコツです。
美容系動画ブロガーのふくれなが創設したCipiCipi(シピシピ)は、Instagram Direct(ダイレクト)誘導広告を配信しました。Instagram Direct誘導広告は、自動応答機能によりユーザーとコミュニケーションがとれるもので、CipiCipiは性格診断に誘導し、コンテンツビューを大幅に増やしました。
6. Google広告
Google広告は、世界最大のオンライン広告プラットフォームです。Google広告のアカウントで、YouTube(ユーチューブ)やGmail(ジーメール)、GoogleパートナーサイトやGoogleパートナーアプリにも広告を出稿することができます。形式はテキスト広告やバナー広告、動画広告など、さまざまな形式を選択できます。
また、Googleショッピング広告を利用すると、関連キーワードの検索結果として商品の特徴や価格を掲載することが可能です。
流行に敏感なユーザー層をターゲットとしているブランドは、その他のオンライン有料広告の選択肢として、Pinterest(ピンタレスト)、TikTok(ティックトック)などに広告を掲載することを検討してみましょう。
公告の掲載先には、ターゲット層が使い慣れているアプリやサイトを選ぶことが重要です。
パートナーシップを通したマーケティング

ブランドの認知度を上げるには、第三者からおすすめしてもらうことも重要です。インフルエンサーとコラボレーションしたり、メディアに取りあげてもらったり、他のブランドと協力し合ったりなど、さまざまなマーケティングパートナーシップの可能性があります。
7. ブロガーに働きかける
ブロガーや商品レビュアー、メディアに取りあげてもらうため、魅力的な提案書やプレス向け資料を用意しておく必要があります。
ブランドと相性の良いメディアをリサーチし、コラボレーションを提案します。広告費を支払って掲載してもらうタイアップ広告やスポンサードコンテンツもあれば、あるいは専門知識を活かした解説などのゲスト記事を執筆する機会に自社商品をPRできるかもしれません。
また、自分が取り扱う商品の分野で権威ある人に商品レビューを依頼するのもよい方法です。専門知識と知名度のある人が推薦すれば、商品の品質への信頼性を高めることにつながります。
8. オフラインで消費者と接点を持つ
オンラインで販売するからと言って、マーケティングをオンラインに限定する必要はありません。地元のコミュニティなどで実際に消費者と接することで、口コミが広がることも期待できます。
もしペット用品を取り扱っているなら、ドッグランにチラシを置かせてもらったり、飼い主たちに話しかけ、どんなニーズがあるかを聞き出したりできます。このように消費者と直接触れ合うことにより、価値ある情報を得られたり、ブランドの認知度を上げたりできるのです。
低コストで製品を作ってサンプル品を配布したり、ポップアップストアを開いて接客しながらフィードバックをもらうのもよいでしょう。
オフラインとオンラインのマーケティングの組み合わせは、非常に効果的な戦略となります。対面で話してみて商品に興味を持ってくれた人がいれば、ネットショップのURLやQRコードを印刷したチラシやカードを忘れずに渡しましょう。
このようによい口コミが広がるように努力することは、継続的に自分の商品に興味を持ってくれる馴染み客を獲得することにもつながります。
腰痛防止コルセットを販売するガードナー株式会社は、今までにないタイプの商品を知ってもらうための体験スポットを設置しました。さらに消費者が体験している様子を撮影し、その動画を広告として流すことで認知度を向上させました。
9. インフルエンサーと協力する
インフルエンサーに商品のレビューを依頼したり、商品情報を盛り込んだエンターテインメント性のあるコンテンツを共に創り上げたりすることで、商品の魅力を多くの消費者に伝えることができます。インフルエンサーに依頼することのメリットは、すでにその分野に興味があるフォロワーに商品情報を届けられることです。
ブランドの方向性に合ったインフルエンサーをすでに見つけている場合は、DMなどを送って直接連絡を取ってみましょう。まだ見つかっていない場合は、企業とインフルエンサーを効率的にマッチングするShopify Collabsなどのクリエイターマーケットプレイスを利用する方法もあります。
成果の分析と改善

サイト流入を増やす取り組みを行い、アクセス数が増えてきたら、その成果がデータとして蓄積されていきます。分析を行えば、どのコンテンツやチャネルが最も効果的だったかを把握することができます。
eコマースプラットフォームの分析ツールや広告プラットフォームのレポートツールを利用して、顧客の行動を把握しましょう。どの方法が売り上げにつながり、どの方法が無意味だったのかを理解することで、経験を次のマーケティング戦略に活かすことができます。
10. 直帰率から学ぶ
直帰率とは、ユーザーが最初にアクセスしたページから他のページに移動することなく離脱した割合を指します。
もし直帰率が高いなら、ターゲットとした層が適切でなかったか、しっかりターゲットを絞り込めていなかったのかもしれません。直帰率を低くするには、データ分析を通してターゲットとする層を見直し、より関心を持ってくれるユーザーの流入を促す必要があります。また、商品やブランドについてもっとよく知りたいと思わせるランディングページにすることも重要です。
高い直帰率の原因としてもうひとつ考えられるのは、サイトスピードが遅いことです。画像を圧縮したり、不要なプラグインを減らしたり、スマホ用の画面デザインを取り入れたりすることで、読み込み時間を短縮できます。
11. 閲覧のみでカゴに入れなかったケースから学ぶ
閲覧のみでカゴに入れなかった訪問者が数多く見られる場合は、原因として商品が市場のニーズに合ってないことが考えられます。あるいは、価格設定を見直す必要があるかもしれません。
消費者に納得して購入してもらうためには、顧客のニーズと期待に合った商品を提供することが必要です。また、顧客の信頼を獲得し、安心して購入してもらえる工夫も大切です。
例えば、ECサイトにカスタマーレビュー機能を追加したり、返品・交換の条件と返送料について明確に記載することは、安心して購入してもらうことにつながります。ウェブサイトのデザインが美しくて機能的でプロフェッショナルなものであることや、問い合わせ先が見つけやすいことも信頼性を高めるために重要です。
12. カゴ落ちから学ぶ
カゴ落ち率が高い場合は、決済手続きの過程に原因があると考えられます。その他に配送条件が希望に合わなかったという理由もあるかもしれません。
決済手続きは、必要な情報のみの入力で少ないステップで完結できるように改善しましょう。また、支払い方法の多様化や、配送条件を見直し明確に記載することもカゴ落ち率を低くするために役立つ施策です。
まとめ
初めてネットショップを開設する場合、ウェブサイトのデザインに長い時間をかけがちです。ですがそれよりも、まずはECサイトのアクセス数を増やすことに取り組むべきです。それが売れないネットショップを売れるネットショップに好転させる鍵です。そして、アクセス数が増えてきたら、データ分析を行い、その結果から学んだことを次のマーケティング戦略につなげましょう。
Shopifyは初心者でも簡単にネットショップを開設できるだけでなく、集客・販売を強化するために必要なデータの分析が可能で、最適なアプローチ方法を見つけることができます。無料期間を利用して、ぜひお気軽にお試しください。
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よくある質問
オンラインストアの立ち上げ期に重要なことは?
オンラインストアで初めての売り上げを獲得するのに重要なことは、訪問者を獲得し増やすことです。オンラインサイトのデザインが重要になってくるのは、アクセス数が増加してからです
無料で宣伝できる方法はありますか?
無料で宣伝できる方法は以下のようなものがあります。
- 自分のSNSアカウントでネットショップを開業したことをシェアする
- 取り扱う商品と関連性の高いオンラインコミュニティに参加して自分のネットショップを紹介する
- 新規顧客を対象にした割引クーポンを配布する
- SEO対策で検索上位をねらう
サイト流入を増やすために、有料の方法にはどんなものがありますか?
サイト流入を増やす有料の方法として、オンラインの有料広告があります。Google広告、Facebook広告、Instagram広告などが該当しますが、ターゲット層が使い慣れたプラットフォームで広告を配信することが重要です。
文:Kyoko Kitamura