新規サービスの開始時や、ネットショップの集客力を上げたいときに効果的なのが広告です。一般的には有料広告を利用する企業が多いですが、できるだけ費用を抑えて集客したいと考える事業者の方も多いでしょう。
そこでこの記事では、無料で広告を掲載できるサイトや、無料広告を出す際の注意点、広告以外に無料で集客できるアイデアを紹介します。マーケティング戦略にかけられる予算が少ない場合など、「広告を出したいけど、あまりお金をかけたくない」という方は、ぜひ参考にしてください。
無料広告とは?
無料広告とは、制作費や広告媒体費がかからない宣伝方法です。無料広告には、口コミやSNSでの投稿、オウンドメディアで発信するコンテンツなどのように、企業が制作・掲載・管理まで行う方法や、無料集客サイトなどの広告媒体に出稿し、情報を掲載してもらう方法などがあります。
無料で広告を載せられる無料集客サイト6選
1. Googleビジネスプロフィール

Googleビジネスプロフィールは、ビジネスや店舗情報をGoogle検索結果やGoogleマップ上に表示・管理できる無料ツールです。幅広い領域のビジネスに対応しており、配送業や清掃業などユーザーと対面でやり取りするビジネス形態であれば、非店舗型ビジネスでもプロフィールを掲載できます。登録には審査が必要ですが、基本的には全ての機能を無料で利用できます。
Googleビジネスプロフィールのメリットは、検索結果で上位表示されやすく、多くの機能を利用できることです。例えば、分析機能(検索キーワード、アクセス数、クリック数)、よくある質問、チャット機能、口コミなどが無料で利用できます。
【おすすめの方】
- 完全無料で使いたい
- 検索結果の上位に表示したい
- ユーザーと対面する機会のある全てのビジネス
【使える機能】
- 基本情報の表示(営業時間、住所、メニュー、電話番号など)
- 写真やロゴ、特色のアピール
- 最新情報やイベントの掲載
- 口コミ
- チャット機能
- よくある質問
- 分析機能(検索キーワード、アクセス数、クリック数)
2. Googleショッピング

Googleショッピングは、商品の写真、商品名、料金などを無料で掲載できます。ユーザーが商品をクリックするとオンラインショップの情報が表示され、そこから商品ページへと移動することができるため、商品の購入を直接促すことができるのが特徴です。
Googleショッピングに商品を掲載するには、Googleマーチャントセンターへの登録とガイドラインの条件を満たす必要があります。申請できる業種は、ECサイト・実店舗・または両方を運営し商品の販売を行っている小売業のみである点に注意が必要です。
Googleマーチャントセンターと連携可能なEコマースを利用している場合は、商品を自動的に掲載できます。ShopifyでもGoogleチャネルを利用して商品を同期できます。
【おすすめの方】
- 小売事業を行っている
- Eコマースを利用している
- 将来的には有料広告も検討したい
【使える機能】
- 商品の基本情報の表示(写真・商品名・料金)
- オンラインショップや実店舗の情報へのリンク
- 分析ツール
- 有料広告
3. Yahoo!プレイス

Yahoo!プレイスは、Googleビジネスプロフィールと同じような機能で、Yahoo!検索やYahoo!マップ、Yahoo!ロコ(地域情報サービス)などを利用するユーザーにビジネスや店舗情報を効率的に伝えられます。
「ユーザーの性別や年代」、「どのように対象ページを見つけたか」、「ページへのアクセス数」などの詳細なアクセス解析のほか、LINE公式アカウントとの連携や予約機能が使えますが、実店舗や施設がない場合は利用できないので注意が必要です。
Yahoo!Japanユーザーは8500万人にのぼります。GoogleとYahoo!Japanはメインユーザー層が若干異なるため、迷ったら両方登録しても良いでしょう。
【おすすめの方】
- 飲食店
- 実店舗がある
- LINE公式アカウントを利用予定
【使える機能】
- 基本情報の表示(営業時間、住所、メニュー、電話番号など)
- 写真やロゴ、特色のアピール
- 最新情報やイベントの掲載
- 口コミ
- 詳細なアクセス解析
- LINE公式アカウントとの連携
- 予約機能(飲食店限定)
4. エキテン

エキテンは、月間約670万人以上に利用されている日本最大級の無料宣伝サイトです。250種以上の業種に対応しているので、さまざまな業種で利用できます。また、実店舗に来客してもらうビジネス以外にも、ハウスクリーニングや不用品回収などの訪問型ビジネスでも集客が可能です。
エキテンは、初期費用・月額費用・成果課金が全て無料です。掲載できる情報量も多いため、ホームページ代わりにも活用できます。
ただし、上位表示・ホームページ作成代行・無制限のネット予約を可能にするには、月額5000円の有料プランの契約が必要になります。
【おすすめの方】
- ホームページ代わりに使いたい
- 困ったときにサポート窓口に問い合わせしたい
【使える機能】
- 基本情報の表示(営業時間、住所、電話番号、決済方法など)
- 写真やメニュー、イベント情報の掲載
- 口コミ
- 口コミ収集ツール
- スタッフ紹介
- クーポン
- サポートデスク
5. Cポン

Cポンとは、香港・台湾・マレーシアに拠点があり30年以上の歴史があるKOC・H.K.(飲食天王有限公司)が運営する広告サービスです。
初期費用、定額料金、広告宣伝費が無料のため、低リスクで広告を出せます。ただし、成果報酬型広告のため、ユーザーが実際に店舗を利用したときに、30%の手数料がかかります。
30%の手数料のうち、実際に運営会社に支払われるのは10%のみで、残りの20%はユーザーへの割引となるため、新規顧客とリピーター両方を獲得しやすくなります。
さらに、Cポンユーザーを獲得すると店舗がポイントをもらえるアフィリエイトの仕組みもあり、多角的に収益を生むことができます。
【おすすめの方】
- 低リスクで宣伝をしたい
- アフィリエイトもしたい
【使える機能】
- Cポンバリュー(Cポンの売り上げを仕入れや支払いに利用できる)
- ネットショップ開設
- インフルエンサーによる店舗宣伝
- サポートデスク
6. ジモティー

ジモティーとは、無料で広告掲載ができる地域密着型の掲示板です。リサイクル品、中古車、スクール、求人情報、不動産など幅広いジャンルの情報が掲載できます。
地域やエリアを絞って商品やサービスを探すユーザーをターゲットにしているため、条件に当てはまれば集客に直結しやすいという特徴があります。情報の掲載だけでなくユーザーとのやり取りも行えますが、個人間取引を主体とするサービスのため、決済方法が限定されていたり、取引に時間がかかる可能性があったりします。
【おすすめの方】
- 地域密着型のビジネス
- ユーザーとのチャット機能がほしい
【使える機能】
- 上位表示オプションサービス(有料)
無料広告サイトの選び方
無料広告サイトを選ぶ際のポイントを紹介します。
業界や利用目的に合っているか
サイトによって得意分野が異なるため、利用目的にあった無料広告サイトを選びましょう。無料広告サイトの中には、幅広い業種に対応しているものもありますが、小売、飲食店、求人など特定の業種や目的に特化しているサイトもあります。自分の業界や目的に合った無料広告サイトを選びましょう。
広告サイトが検索上位に表示されているか
上位サイトは目に入りやすく、求めている情報が載っている可能性が高いため、ユーザーは検索上位に表示されるサイトをチェックします。広告の効果が十分に得られるよう、販売商品に関するキーワードで検索したときに上位表示される無料広告サイトを選ぶようにしましょう。
レビューや最新情報が頻繁に更新されているか
エキテンやCポンのようなサービスを利用する際、情報更新が頻繁に行われているサイトを選ぶことも大切です。ユーザーが商品を購入する際、レビュー内容や店舗情報も踏まえて購入を決める傾向にあるからです。情報が頻繁に更新されているサイトは信頼度も高く、購買につながりやすいです。
GoogleビジネスプロフィールとYahoo!プレイスに掲載している情報は自分で最新のものに更新したり内容を確認したりする必要があります。
無料で広告を載せる際に気をつけたいポイント
無料で広告を載せる際に気をつけたいポイントは3つあります。無料だと思っていても、後から高額な手数料を支払わなければいけないこともあるため、契約や申込時に確認してください。
- 無料期間終了後に有料契約に移行しないか:無料掲載期間が限定されている広告サイトは、自動更新で高額な料金を請求されるケースがあります。特に、求人サイトで多いトラブルのため、契約書はきちんと読みましょう。
- 無料で掲載できる機能で十分か:無料の範囲が決められていて、無料で掲載できるのは店舗情報だけで、口コミやアクセス解析などは有料になる場合もあります。契約前にどのような機能を使いたいかなど目的を明確にし、確認するようにしましょう。
- 成果報酬型の手数料が高くないか:低リスクが魅力の成果報酬型広告ですが、手数料が高いと利益が少なくなる可能性が高いため、手数料がいくらかなのかはしっかりと把握しておきましょう。
また、知らない会社から無料広告掲載の営業を受けたときは、会社概要や口コミなどを調べると安心です。厚生労働省委託事業である「求人情報提供ガイドライン適合メディア宣言」に掲載されている企業からの依頼であれば安全度は高いでしょう。
無料広告以外で無料で宣伝する7つの方法
1. メールマガジンの配信

メールマガジン(メルマガ)を使えば、無料で簡単にブランドや商品に興味を持っている顧客に宣伝できます。Campaign Monitor社の調査(英語)によると、SNSの40倍の新規顧客を獲得できる、費用対効果が高い宣伝方法です。ECサイトで入手した顧客情報を基に、定期的に新商品などの案内メールを送付することで、顧客の購買意欲を高めましょう。
自分でアドレス帳を作成して配信する以外にも、無料のメルマガ配信サービスを利用することもできます。
ただし、売り込みが過剰になるとメルマガを解約されてしまう確率が高まるため、長期的に顧客と信頼関係を築けるよう、顧客目線で有益な配信を心がけましょう。
2. コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに役立つ情報をオウンドメディアやブログ、音声配信等で発信することで、視聴者にリーチする方法です。
コンテンツマーケティングを行う際は、SEO対策を行うことが大切です。SEO対策をすることで、オーガニック検索(PRや広告を除いた通常の検索結果)でユーザーに有益なコンテンツが上位表示されるようになり、宣伝の効果が高まります。
コンテンツマーケティングは、効果が出るまでに時間はかかりますが、時間が経過しても価値が下がりにくいため、資産性があります。導入のハードルも低く、中長期的にみると顧客獲得コスト(CAC)を低くすることができます。
3. メディアへの売り込み

メディアに取り上げられるのも無料の宣伝になります。自分の商品やブランドに関連する話題を扱っている報道機関やまとめサイト、業界メディア、地域の新聞やフリーペーパーなどを探し、連絡してみましょう。
新製品発表やクラウドファンディング、特別なイベント、社会貢献性のある話題はニュースとして取り上げられる可能性が高いでしょう。業界メディアやまとめサイトであれば、ニュース性がなくてもサイトに掲載してもらえることもあります。
4. ユーザー生成コンテンツの活用
ユーザー生成コンテンツ(UGC)は顧客が作ったコンテンツで、実体験に基づく口コミを知ることができるため、多くの消費者が商品購入時などに参考にします。このUGCを活用し、ECサイト上で紹介したり、SNSでリポストしたりすることで、効果的な宣伝を行うことができます。
UGCは顧客が任意で投稿するものですが、作成を促す方法はいくつかあります。
- 製品の写真や動画投稿に関するコンテストやプレゼント企画の実施
- ブランドのInstagramのハッシュタグを作成
- TikTokのトレンドを活用
- 顧客のUGCに対する、いいねやコメントなどのアクション
- 顧客がSNSでシェアしたくなるような開封体験の提供
5. シーディングの実施

シーディングとは、インフルエンサーに商品を紹介してもらえるよう、無料のサンプルやプレゼントを提供することです。インフルエンサーがその商品を気に入った場合にのみ紹介してもらえるため、確実に宣伝できるわけではありませんが、紹介してもらえた場合は高い宣伝効果が見込めます。
シーディングを成功させるためには、適切なインフルエンサーを選ぶことが大切です。商品と関連のある分野のインフルエンサーを選出し、ニッチに強いマイクロインフルエンサーへの依頼も検討しましょう。
ただし、消費者はステマに敏感で、ステマ規制も厳格化されてきているため、無料で提供した商品であっても、商品の紹介時に「PR」表示をしてもらうようしっかりと伝えておきましょう。
6. SNSの活用
SNSマーケティングは、新しい見込み顧客にリーチできる効果的な方法です。ほとんどのSNSは無料で利用でき、動画マーケティングなどの新しいマーケティングアイデアを試すのに最適です。
プラットフォームごとに特徴やメインユーザー層などが異なるため、自社のターゲットにあったプラットフォームを選ぶようにしましょう。継続的な発信を行うことで、ブランド認知度を上げ、集客につなげることができます。
7. 地元の商工会議所の利用

商工会議所は、経営者や個人事業主が集まる経済団体です。日本全国515箇所に支所があり、122万人の会員がいます。会員制で会費が月1,000〜2,000円程度かかりますが、会員限定の発行誌にプロフィールを掲載したり、ビジネス交流会に参加したりすると、無料や低料金で広告掲載やPRができることもあります。
専門のスタッフが、集客だけでなく経営や税務、資金調達など幅広い支援を行ってくれます。
まとめ
無料広告サイトは数多くありますが、各サービスによって特徴が異なります。業界や使う目的に合わせて選んだり、複数のサービスを併用したりして効果的な集客を行いましょう。
サービスによっては、一部機能のみ無料であったり、成果報酬型広告のため手数料がかかったりすることもあります。事前に規約や無料で使える機能などを確認しておくことが大切です。
また、無料広告を掲載する以外にも、SNSやブログ、メールを活用するなど、無料で集客するアイデアはたくさんあります。効果的な無料広告サイトや自分のビジネスに合ったPR方法を選んで、集客を伸ばしていきましょう。
よくある質問
無料広告とは?
無料広告は、掲載費用が発生しない広告を指します。しかし、無料広告の中には、完全無料の広告から、一部有料のもの、成果報酬型広告までさまざまな種類があります。
無料で広告を出す際の注意点は?
無料広告の場合、機能が一部制限されていたり、成果報酬型広告で手数料がかかったりする可能性もあります。利用規約をよく読んで自分の利用目的に適しているかをよく確認しましょう。
なぜ無料広告掲載サイトは無料なの?
無料広告サイトが無料で広告を提供できる理由には、以下のような理由が考えられます。
- 無料プランだけでなく、有料プランや成果報酬があるから
- 別のビジネスから事業収入を得ているから
- 掲載広告とは別に、サイト内の広告枠から収入を得ているから
文:Shigemi Saki