SNSマーケティングの一環としてYouTube(ユーチューブ)を活用している企業や、在宅でYouTubeの収益化を目指すクリエイターにとって、YouTubeアルゴリズムを理解することは大きなメリットになります。この記事では、最新のアルゴリズムがどのように動画を評価し、視聴者に表示しているか、その目的と仕組み、アルゴリズムで高評価を得るための対策やYouTubeのアルゴリズムに嫌われる理由について説明します。
YouTubeを通した集客や顧客維持だけでなく、認知度向上、売上アップを目指している方もぜひ参考にしてください。
YouTubeアルゴリズムとは

YouTubeアルゴリズムとは、視聴者に最適な動画やコンテンツを表示するための仕組みです。視聴者が好む動画の効率的な提示やランク付けを目的としています。例えば、料理動画をよく視聴するユーザーには、料理や食に関連する動画のなかで、評価の高いものが優先的に表示されます。
YouTubeアルゴリズムは、視聴回数やクリック数だけでなく、視聴時間、エンゲージメント、キーワードなど、さまざまな要素を考慮しています。2015年以降は、ディープラーニングを取り入れて、動画の質や視聴者のエンゲージメントをより重視するようになりました。その結果、各ユーザーが好むと予想される動画コンテンツが優先的に表示されるようになっています。
YouTubeアルゴリズムの仕組み

YouTubeのアルゴリズムは、視聴者がどんなジャンルの動画を視聴しているか、どれだけ視聴しているか、どのように反応しているかに基づいて、視聴者におすすめする動画を決定する仕組みです。視聴者に最適なコンテンツを提示し続けることで、YouTubeを継続して利用してもらえるようにしています。
以下に、YouTubeアルゴリズムの仕組みに影響する主な指標について説明します。
平均視聴時間
平均視聴時間は、視聴者が一つの動画をどれだけ見続けたかを示す指標です。この数値が高いほど、視聴者がその動画に満足していることを示します。できるだけ長く見てもらうためには、構成やテンポ、編集に工夫を凝らすことが必要です。
エンゲージメント
エンゲージメントは、動画に対する視聴者の反応を示す指標で、いいね、コメント、共有などのアクションが含まれます。高いエンゲージメント率は視聴者がコンテンツを楽しんでいることの証拠であり、アルゴリズムにとって重要な評価基準となります。
クリック率
クリック率は、動画のサムネイルやタイトルが表示されたときに、視聴者がどれだけクリックしたかを示す指標です。高いクリック率は、サムネイルやタイトルが視聴者の関心を引き、動画を視聴する動機付けになっていることを意味します。
総再生時間
総再生時間は、視聴者がそのチャンネル内の動画をどれだけ視聴したか、全動画の合計再生時間を示します。視聴者がチャンネルにどれだけの関心を持っているかを計る指標となります。
関連性や視聴履歴
視聴者の視聴履歴や検索キーワードなども重要な指標です。視聴者が以前に見た動画や検索したキーワードに基づいて、関連性の高い動画が表示されます。
視聴回数
視聴回数は、動画がどれだけ再生されたかを示す基本的な指標です。視聴回数が多いほど、人気のある動画として評価されやすくなります。また、投稿頻度も視聴回数に影響を与えるため、定期的に新しいコンテンツを投稿することが推奨されます。
動画の長さ
動画の長さもYouTubeアルゴリズムに影響を与えます。動画が短すぎると視聴者が十分に満足しない可能性がありますが、逆に長すぎると途中で視聴をやめてしまうこともあります。
キーワード
キーワードは、動画が検索結果に表示されるかどうかに大きく影響します。視聴者が興味を持ちそうなキーワードを適切に選び、タイトル、説明、ハッシュタグに盛り込むことで、動画が発見される可能性を高めることができます。
YouTubeのアルゴリズムによっておすすめ動画が表示される場所

YouTubeのアルゴリズムは、表示場所ごとに若干異なります。ここでは、おすすめ動画が表示される場所とそれぞれのアルゴリズムの特徴を見ていきます。
ホーム画面
YouTubeのホーム画面には、視聴履歴や検索履歴、視聴時間など、ユーザーの過去の行動データを基にアルゴリズムが選んだ新着動画やおすすめ動画、人気急上昇中のショート動画が表示されます。ユーザーをできるだけ長くアプリにとどまらせるために、ユーザーが好むと予想される動画を提案する仕組みです。
関連動画
視聴中の動画の右側(パソコンの場合)や下側(スマートフォンの場合)に表示される関連動画も、YouTubeのアルゴリズムによって選ばれます。視聴している動画のテーマやジャンルに関連する動画、またはユーザーの過去の視聴データを基に表示されます。
急上昇タブ
YouTubeの急上昇タブでは、その国で人気の高い動画や話題の動画が表示されます。アルゴリズムは、再生回数や再生速度、視聴地域、動画の新しさなどの要素を考慮して動画を選びます。
検索結果
検索結果に表示される動画は、アルゴリズムによってキーワードとの関連性やユーザーの過去の閲覧履歴に基づいて選ばれます。YouTubeの検索ボックスにキーワードを入力して検索を行うと、そのキーワードと関連性の高い動画が表示されるのはそのためです。さらに、動画の内容や質もアルゴリズムによって評価され、関連性の高い動画が優先的に表示されます。
Googleの検索結果
YouTubeの動画は、Googleの検索結果にも表示されます。GoogleのアルゴリズムとYouTubeのアルゴリズムが組み合わさり、検索意図に合った動画が表示されるようになっています。
これらの指標や表示場所を理解して動画を投稿することで、YouTubeのアルゴリズムに評価されやすくなり、チャンネルを成長させることができます。
YouTubeアルゴリズムを利用してチャンネルを伸ばす12の方法

1. タイトルや概要欄にキーワードやハッシュタグを含める
タイトルや概要欄にキーワードやハッシュタグを含めることで、そのワードで検索した視聴者を引き込むことが可能です。適切なキーワードを入れることで、Google検索で表示される可能性も高まり、Googleからの流入も期待できます。
そのためには、キーワードリサーチを行い、ターゲットとなる視聴者が検索しそうな言葉を選びましょう。また、競争の少ないニッチなキーワードを入れるのも効果的です。キーワードを含むタイトルは、視聴者のクリックを誘導する効果もあります。
2. 投稿内容に一貫性を持たせる
投稿内容に一貫性を持たせることで、YouTubeアルゴリズムに「このチャンネルは〇〇の専門チャンネルだ」と認識され、関連するキーワードの検索結果や関連動画に表示されやすくなります。
投稿に一貫性があると、そのトピックに関心のある視聴者にチャンネル登録してもらえる可能性も高まります。安定した視聴者が増えることで、クリック率や視聴時間、総再生時間が増加し、アルゴリズムによってさらに表示されやすくなります。
3. ユーザーエンゲージメントを高める
視聴者の反応が良い動画は、アルゴリズムに評価されます。動画内で視聴者に質問を投げかけたりコメント欄での交流を促したりするなど、視聴者がいいねやコメントなどをしたくなるような仕掛けをすることで、エンゲージメントを高めましょう。
また、コメント欄で視聴者の質問に答えたり、感想に返信したりすることで、視聴者と信頼関係を築くことができ、チャンネル登録や視聴回数の増加などにつながります。エンゲージメントを高めることで、視聴時間を延ばし、広告収入を増やすことにもつながります。
4. 総再生時間を延ばす
総再生時間を延ばすためには、チャンネル全体の動画数を増やす、動画をシリーズ化して視聴回数を増やす、動画の長さを長くする、といった方法があります。適切な長さの動画を作成することで、視聴者の興味を引き続け、再生時間を延ばすことができます。一般的には、10~20分程度の動画が最も効果的とされていますが、コンテンツの種類によって最適な長さは異なるため、視聴者の反応を見ながら調整することをおすすめします。
また、YouTubeのエンドカードを設定することで、視聴者をチャンネルに留めることができます。エンドカードとは、動画の最後の5~20秒の間に任意の長さを設定でき、4つまでクリック可能な要素を配置できます。チャンネル登録ボタンや特定の再生リストへのリンク、関連する特定の動画のリンクなどを配置することで、視聴者にチャンネルの他の動画を見続けてもらえるようにします。
5. クリックされるサムネイルを作成する
アルゴリズムの評価に大きく影響する動画のクリック率は、効果的なサムネイルを作成することで高めることができます。画像編集ソフトなどを活用して、動画内容に合った目を引くサムネイルを作成しましょう。
サムネイルにはテキストを追加し、視聴者が思わずクリックしたくなるような情報を含めることが重要です。スマホなど小さな画面でサムネイルを見た時にも、どのアカウントのどのような内容の動画であるかがわかるように、文字の大きさやロゴ配置、フォントや色の系統などを工夫しましょう。文字を配置する場合は、右下にかからないように気を付けます。動画の長さが表示されることで、文字が隠れてしまうためです。
サムネイルは投稿内容と同様に、統一感があり第一印象が良いものが上位に表示されやすい傾向にあります。ユーザーの興味を引き、安心してクリックできる動画であるという印象を与えるからです。他のおすすめ動画との差別化を図るという効果も期待できます。サムネイル用のブランドガイドラインを作って、ひと目でユーザーの注目を集められような画像にしましょう。
6. テーマ別に再生リストを作成する
テーマ別に再生リストを作成することで、動画の関連性を高めて、視聴者に最適なコンテンツを提供できます。例えば、料理チャンネルであれば、「朝食レシピ」「ワンプレートランチ」などの再生リストを作成することで、視聴者が求める情報にアクセスしやすくなり、視聴数アップにつながります。
7. コールトゥアクション(CTA)を設置する
終了画面や概要欄に関連動画やチャンネル登録を促すCTAを設置することで、さらなる視聴回数アップやファンの獲得が見込めます。関連動画に誘導して、過去の動画の視聴回数を増やしたり、総再生時間を増やしたりすることができます。総再生時間やチャンネル視聴者数が増えると、アルゴリズムから高い評価が得られ、おすすめに表示されやすくなります。
8. 他のチャネルを活用する
マルチチャネルマーケティングで動画のプロモーションを行うのも、アルゴリズムに良い影響を与えることができ、チャンネルの成長につながります。
ブログやホームページがある場合は、関連するコンテンツ内で動画を紹介する、新しい動画を公開したらメルマガで告知する、インスタなどのSNSで人気動画をシェアするなど、既存のファンやフォロワーとつながりやすいチャネルで宣伝することで、効率的に動画の視聴を促すことができます。すでに関係が構築されているユーザーは、動画に対していいねやコメントをしてくれる可能性も高く、視聴時間だけでなくエンゲージメントも高くなることが期待できるため、アルゴリズムの評価を高めるのに有効です。
9. 競合をチェックする
競合のYouTubeチャンネルのコンテンツを分析するのも、チャンネルを伸ばすのに重要です。最も人気のある動画のキーワードや動画タイトルや説明、ハッシュタグ、再生リストやシリーズ動画などをチェックすることで、自分の動画の視聴者となりうるユーザーの検索キーワードや好みなどを知り、アルゴリズムに評価される投稿を作成することができます。
10. ユーザーの行動を分析する
YouTube Studio(ユーチューブスタジオ)などの分析ツールで、インプレッション数やクリック率、トラフィックソース(視聴者がどのように動画を見つけたか)、視聴回数や視聴時間などを分析し、どこを改善すべきかを見つけます。例えば、インプレッション数は多いのにクリック率が低い場合、サムネイルに問題がある可能性があります。その場合はサムネイルを変更して、クリック率に変化があるかどうかを再確認するなどします。
11. YouTubeショートを作成する
YouTubeショートは、TikTok(ティックトック)やInstagram(インスタグラム)に対抗するために導入された動画フォーマットで、モバイルでの視聴に最適化された縦型の短編動画です。
YouTubeショートのアルゴリズムは、いいねやコメント、共有などのユーザーエンゲージメント、視聴者の閲覧履歴や好み、視聴者のニーズとの関連、投稿者がこれまで投稿した動画の質などに基づいて判断されます。短時間で気軽に見ることのできるYouTubeショートは、視聴される可能性が高く、視聴回数などを伸ばしやすい傾向にあります。若い世代など、スマホで短い動画を視聴することを好む層の視聴者も獲得できるため、YouTubeチャンネルの成長につながります。
12. 動画を宣伝する
これからYouTubeチャンネルをはじめる方や、はじめて間もないチャネルの場合は、視聴回数やチャンネル登録者を増やすには宣伝が欠かせません。YouTubeのアルゴリズムが視聴者の閲覧履歴や行動に基づいており、動画の視聴回数が少ないとアルゴリズムが評価すらできず、おすすめにも表示されにくい傾向にあります。YouTubeマーケティングや、以下のような対策を行って視聴回数を増やす努力をしましょう。
- 新しい動画をメールでお知らせする
- 報道機関や他のインフルエンサーと提携する
- SNSで動画を宣伝する
- YouTubeアフィリエイトマーケティングプログラムを活用する
YouTubeのSEO対策も併せて行うことで、長期的な動画視聴回数を増やせるだけでなく、おすすめへの表示を促すことにもつながります。
YouTubeのアルゴリズムに嫌われる理由

テーマや内容がわかりづらい
視聴者にとって、テーマや内容が明確でない動画は離脱を招くこととなり、アルゴリズムによる評価が低くなります。クリックしてもらえない、視聴時間や回数が伸びない、チャンネル全体の視聴者数が増えない、といった状態になる可能性があります。テーマのない動画や視聴者が混乱するようなコンテンツは避け、明確でわかりやすい動画を作ることが重要です。
視聴維持率が低い
視聴者が途中で離脱する動画は、視聴維持率が低く、YouTubeのアルゴリズムに嫌われます。長すぎる動画を作成しない、メリハリのついた内容にするなど、視聴時間を最大化できるように、視聴者の関心を引き続けられるようなコンテンツを作成することが必要です。
クリックベイトが含まれている
クリックベイトとは、視聴者の興味を引くために、誇張や誤解を招くようなタイトルやサムネイルを使用することです。魅力的なタイトルやサムネイルで視聴者を引き付けても、内容が伴わない場合は、視聴者の信頼を失い、結果としてアルゴリズムの評価も下がります。視聴時間も伸びないため、アルゴリズムから高評価は受けにくいです。大げさな表現をしない、インパクトばかりを重視しないようにして、正確で誠実なコンテンツを提供することが重要です。
エンゲージメントが不足している
いいね、コメント、共有などのエンゲージメントが少ない動画は、アルゴリズムの評価が低くなります。エンゲージメントを高めるためには、視聴者との積極的なコミュニケーションが欠かせません。動画内でコメントを促したり、視聴者に質問を投げかけたりすることで、視聴者がコメント欄に参加しやすいようにしましょう。また、視聴者のコメントに対して丁寧に返信することで、視聴者との信頼関係を築くことができます。
視聴者の興味と一致していない
視聴者の興味や関心と一致しないコンテンツは、アルゴリズムに嫌われる可能性があります。視聴者のニーズに合った動画を提供するためには、視聴者分析を行うことが重要です。視聴者がどのようなテーマや形式の動画を好むのか、どのような時間帯に視聴しているのかなどを把握することで、よりターゲットに合わせたコンテンツを作成できます。視聴者のフィードバックやコメントも参考にしながら、コンテンツの質を向上させ、視聴者の期待に応える動画を提供することが成功の鍵です。
まとめ
YouTubeのアルゴリズムでは、視聴時間やエンゲージメントなど視聴者の満足度が高い動画が高く評価されます。質の高い動画を作ることはもちろんですが、視聴者の好みや検索キーワードなどをリサーチし、適切に対策を立てることが、YouTubeアルゴリズムに評価され、ひいてはチャンネルの成長につながります。
マルチチャネルマーケティングで視聴者と接点を持つのも有効です。積極的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、フィードバックを動画に反映させることで、より視聴者のニーズに合った魅力的なコンテンツを提供できるようになります。これらの対策は、YouTubeのフォロワー数を増やす、YouTubeショート動画を収益化するのにも効果的です。
視聴者が好む動画コンテンツを提供するというアルゴリズムの目的と仕組みを理解して、YouTubeチャンネルの成長を目指しましょう。
YouTubeアルゴリズムに関するよくある質問
YouTubeのアルゴリズムとは?
YouTubeのアルゴリズムは、おすすめや検索結果に表示される動画の順番を決め、視聴者に最適な動画を表示するための仕組みです。
YouTubeのアルゴリズムに影響する要素は?
視聴時間、エンゲージメント(いいね、コメント、共有)、関連性、ユーザーの視聴履歴などがアルゴリズムからの評価に影響します。
YouTubeのアルゴリズムは誰がプログラムしている?
YouTubeのアルゴリズムは、Googleの子会社であるYouTubeのエンジニアと開発者のチームによってプログラムされており、常に更新および改良されています。
YouTube動画の視聴回数を増やすには?
YouTube動画の視聴回数を増やすには、第一に、視聴者のニーズに合った質の高いコンテンツを作成し、タイトルや説明に関連キーワードを使用して検索結果に表示されることがポイントです。さらに、SNS等で動画の宣伝をして視聴を促すことで、視聴回数を増やすことができます。
YouTube動画は長い方が良い?
YouTube動画は長い方が良いとは限らず、長く視聴されることが望ましいです。重要なのは、視聴者のエンゲージメントを維持し、視聴時間を最大化することです。動画が長くても短くても、視聴者が最後まで興味を持ち続ける質の高いコンテンツを提供することが求められます。
YouTubeのアルゴリズムに嫌われる理由は?
- テーマや内容がわかりづらい
- 視聴維持率が低い
- クリックベイトが含まれている
- エンゲージメントが不足している
- 視聴者の興味と一致していない
文:Masumi Murakami