成長中のネットショップを運営するうえで、注文情報や配送を管理するECフルフィルメントはかなり時間がかかる作業です。
在庫の確認から、注文詳細と配送方法の確認、ピッキング、梱包、ラベリングなど、商品を配送業者に引き渡すまでの間に多くの作業をこなさなければなりません。注文の量が増え、ビジネスがもっと複雑になるにつれ、さらに管理作業は大変になります。この作業は面倒なだけでなく、立って動き回ることも要求されます。倉庫(またはストアの在庫ストック場所)で在庫をチェックして、フルフィルメント作業を行う場所まで運んでくる必要もあります。
こうした注文フルフィルメントの対応にShopify(ショッピファイ)の注文管理アプリを活用することで、負担を減らし作業効率を上げることが無料で実現できます。スマホやモバイルデバイスを持ち歩くことで、どこにいても注文管理が可能となるため、迅速に配送準備が行えます。
この記事では、Shopifyのモバイルアプリを活用して、注文管理とフルフィルメント処理を効果的に改善する方法をご紹介します。
バーコードスキャナーで正確な在庫管理を行う
注文処理において信頼性の高いサービスを提供するためには、在庫管理の正確性が何よりも重要です。商品の破損や紛失、数え間違いがあれば、注文履行の遅延やミスにつながり、最終的に顧客満足度の低下を招く恐れがあります。
在庫の正確な把握には、定期的な棚卸し(通常は月に1〜2回)が不可欠です。棚卸しとは、現在の手元の在庫を確認する小売ビジネスの管理業務のことです。この作業では、すべての棚の端から端までを確認して、アイテム数を確認することが求められます。
Shopifyモバイルアプリを使用すると、各商品のバーコードを直接スキャンして数量を更新できます。これにより、いちいちデスクへ戻って在庫管理システムへ入力することなく、棚を見て回ったり、倉庫の通路を歩きながらチェックするだけで、棚卸し作業を行えるようになります。
ポイント:他社から仕入れた商品をはじめ、たいていの商品にはバーコードが付いています。Shopifyのシステムは、標準的なバーコードラベルのほとんどを認識できます。新しいバーコードをスキャンすると、自動的にデータベース上の対応する商品とリンクしてくれます。個別の設定は必要ありません。独自商品やバーコードのない商品の場合、Shopifyアプリストアにあるアプリを利用して、バーコードラベルの作成と印刷ができます。無料バーコードメーカーの使用もおすすめです。
いつでもどこでも受注状況を確認可能にする
多忙な起業家にとって、常にオフィスに縛られて注文や売上をリアルタイムで確認し続けるのは現実的ではありません。Shopifyのモバイルアプリを利用すれば、外出先や店舗でもスマートフォンから最新の注文状況を即座にチェックでき、急な注文増加にも迅速に対応可能です。
たとえば、オンラインキャンペーン期間中に通常を上回る注文が発生した場合、フルフィルメント対応に集中する時間を翌日の午前中に確保しておくといった運用が実現できます。一方、注文数が少ない時間帯には他の業務を優先し、十分な注文が揃ってから出荷準備を進めるなど、柔軟なスケジュール調整が可能になります。
また、注文管理アプリを活用することで、受注したらすぐに情報を整理できるようになります。タグやメモを活用し、注文日、配送方法、注文金額、商品カテゴリー、在庫保管場所、必要な梱包方法、顧客属性といった複数の基準で注文の優先順位を付けることができます。たとえば、発送に大型の箱が必要な注文には「大型」のタグを、小型商品の場合は「小型」、リピーターの顧客には「優先」、初回購入のお客様には「新規」といった具合にタグを設定しておけば、モバイルアプリのフィルター機能や検索機能で瞬時に該当する注文を抽出できます。
ポイント:オンラインショッピングでは、しばしば顧客による間違いが起こります。違う商品を選択してしまったり、決済後にほかの商品も追加したくなったり、といったようなことです。Shopifyモバイルアプリの注文編集機能を使うと、顧客から変更のリクエストがきたらすぐに注文を修正可能です。こうした迅速な対応ができれば、フルフィルメントのプロセスを開始する前に正確な情報を把握できるでしょう。
複数の注文処理作業をまとめて行う
在庫のカウントや管理の際の移動を便利にするだけではなく、配送準備のためのピッキング、梱包、ラベリングといった作業に必要なスペースも、注文管理アプリの活用で効率化することができます。
Shopify注文管理アプリを使えば、複数の注文の処理作業を一括して行えるようになります。たとえば当日中にまとめて出荷すべき注文グループを、注文日や商品タイプ、保管場所、梱包方法、配送手段、注文金額、顧客層などの基準で整理して選択することが可能です。個別に1件ずつ対応するよりも、同じ条件の注文をグループ化してまとめて作業することで、現場の効率が大幅に向上します。
選択した注文グループに対してスマートフォンから直接、注文明細を一括印刷できます。在庫管理に欠かせないSKU(最小識別単位)などの情報も含め、必要な商品の詳細が一覧で確認できるため、ピックアップから発送準備までの流れがスムーズになります。出荷する商品を集めたら、次は発送ラベルを印刷します。Shopifyのフルフィルメント設定機能を利用すれば、選択された注文の発送ラベルを一括生成できます。さらに、注文管理アプリから追跡番号をスキャンし、それぞれの注文情報に紐づけることもできます。
また、Shopifyアプリにはヤマト運輸や日本郵便などの国内配送業者のシステムと簡単に連携してくれるものもあります。複数の注文の集荷受付の一括管理などが可能となり、オペレーションの効率性が大幅に向上します。
ポイント:決済時に顧客へ発送予定などの情報を明確に提示することは、購入意欲の向上やショップへの信頼感に直結します。配送情報をShopify管理画面から直接追加する方法については、こちらをご参照ください。
まとめ
Shopifyのモバイルアプリは、現場での在庫確認や注文管理、ピッキング、梱包、発送準備といったフルフィルメント業務を効率化するための強力なツールです。
スマートフォンを用いてすばやくバーコードをスキャンし、在庫情報をリアルタイムに更新する機能や、クラウド対応プリンターを利用した一括印刷により、業務のスピードと正確性が大幅に向上します。また、ヤマト運輸や日本郵便など国内配送業者との連携を活用することで、集荷や配送の手続きもシンプルかつスムーズに行え、出荷準備の手間を削減できます。
こうしたシステムはECサイト運営者にとって、業務効率の改善や顧客満足度の向上につながる重要な要素であり、売上増加やコスト削減を実現するための大きな武器となります。事業の成長を目指す企業にとって、柔軟かつ実践的な運用が可能なShopifyモバイルアプリは、競争力を高めるために不可欠なソリューションとなるでしょう。
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よくある質問
Shopify注文管理アプリの特長は?
Shopify注文管理アプリで実店舗とも連携できますか?
実店舗とネットショップの両方を運営している場合でも、モバイルアプリを使えば在庫管理や棚卸しなどの作業を共通で行なえるようになります。また、実店舗でのバーコードスキャンや支払の受付などを行えるデバイス「POS Go」も活用すると、さらに効率的に店舗運営を行えるようになります。
フルフィルメントや配送準備を効率化するための具体的な機能は?
文:Yoshiaki S. Ikeda