新しいビジネスのアイデアをいつも思い巡らせている人は少なくないでしょう。趣味のジュエリー作りをビジネスにするにしろ、成長中のニッチ市場で商品を販売するにしろ、さまざまな想像を膨らませることは楽しいものです。
しかし、ビジネスを成功させる第一歩として多くの人に欠けているものは、アイデアに対する「自信」です。市場のなかで、収益を生み出せるビジネスアイデアだという確信です。
ご自身のアイデアにまだあまり確信がもてない、あるいはアイデアが多すぎて選べないという場合でもご安心ください。この記事では、新規ビジネスアイデアを実現させ、成功させるために検討するべき事柄をくわしく紹介しています。
優れたビジネスアイデアの特徴

優れた新規ビジネスアイデアとは、市場のニーズに応える独自の価値を提供でき、事業の拡大や収益性が見込めるものです。また、机上の空論ではなく、利用できるリソースにより実現可能で、市場の変化に適応できるものです。
ビジネスの成功には、リスクの少ない0円起業が可能かどうかよりも、長期間にわたって継続できる可能性を検討する必要があります。
ビジネスアイデアの実現可能性を検証する

以下の項目を検証することで、ビジネスアイデアが成功する可能性を探ることができます。
1. 自分を理解する
起業家として成功する最初のステップは、まず自分を深く理解することです。自分の強み、弱さ、興味が向くものを知っておくことは、武器となり、盲点を予測し、行き詰まったときでもモチベーションを維持することにつながります。
以下の点を当てはめて、自己分析を行ってみましょう。
- 販売しようとする製品に関して意見や経験、専門性、ストーリーなどを持っているか。
- アイデアの事業化に役立つスキルを持っているか。たとえば、営業が得意で商談をうまくまとめられる、デザイナーの経歴を持ちブランドをデザインできるなどのようなスキルがあるか。自身にスキルがなくても、そのスキルは外注や従業員に委託できるものか。
- 解決しようとしている社会の課題やターゲット層の関心事に、自分自身が強い関心や興味を持っているか。
- オーディエンスを増やすために、SNS、YouTubeチャンネル、メールマガジンなどでコンテンツを作成できるか(昨今の起業家たちは、まずブランドのファンを集め、その後、展開するビジネスの顧客の中核層につなげています)。
また、起業家に共通する特徴として一般的に、「リーダーシップがある」「失敗を恐れない」「常に準備を怠らない」「人を惹きつけるビジョンを持っている」「人とはちがう視点で問題解決に取り組む」といった要素が挙げられます。
2. 市場を探る
参入しようとする市場を分析して、トレンドやニーズを探ります。市場分析には、次の方法があります。
- 競合相手を分析する:似たようなサービスを提供している企業を特定し、競合分析を行います。たとえば、Keywordmap(キーワードマップ)は、競合サイトの調査や分析に適したツールです。
- マーケットプレイスを分析する:似た商品・サービスがすでに販売されているか、どのような売り込み方をしているかなどを、Amazon(アマゾン)やEtsy(エッツィ)、楽天市場などのマーケットプレイスで調査します。この調査をすることで市場の規模や特性をつかみ、潜在顧客への売り込み方法を分析します。
- 潜在顧客の声を聞く:インタビューやイベントなどを企画して、潜在顧客となりそうな人々のニーズや困りごとを探ります。この調査の過程で、新たなビジネスチャンスを発見することもあります。
- コミュニティを探す:Facebook(フェイスブック)やmixi(ミクシィ)、X(エックス)のコミュニティ、業界ブログなど、潜在顧客が集まっていそうなコミュニティを調査します。
- 業界動向を分析する:統計データやレポートを調査し、業界の動向を把握します。たとえば、経済産業省「電子商取引に関する市場調査」や「帝国データバンク」、「業界動向リサーチ」などで、大まかなトレンドや消費者のニーズをつかみます。
- トレンドを探る:Googleトレンドなどのキーワード分析ツールなどを利用することで、検索トレンドを把握することができます。また、Instagram(インスタグラム)やFacebook、TikTok(ティックトック)などのSNSで同様のキーワードや関連キーワードなどを検索することで、Googleトレンドのデータだけでは見えてこない、消費者の興味や行動パターンの詳細も把握できます。
ビジネスチャンスやオーディエンスを明確にすることで、最初に取り組むべき目標もわかりやすくなります。まずはできることから始めて、徐々にビジネスを拡大させていきましょう。
例として、アトピーや肌荒れで悩む人のために作られた自然派コスメブランド、紫香房(むらさきこうぼう)の場合を考えてみましょう。リサーチによって参入市場の全体図を垣間見ることができます。
キーワードリサーチの結果、「皮膚炎」のGoogle検索が月間平均約10万件あることがわかりました。またメディリードラボの調査では、アトピー性皮膚炎の患者数は成人で1000万人程度いると推定されています。
楽天市場で「自然派」「アトピー」「保湿クリーム」のキーワード検索をすると、関連商品は243件とそこまで多くはなく、商品価格帯は3,000円台が一番多いことがわかります。
株式会社矢野経済研究所の自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査によると、2024年度の同市場規模は、前年度比103.9%の1,779億円と推計されています。ニーズの高い市場でありながらまだ飽和状態にはなっておらず、業界が上向きであると推測できます。

新規ビジネスを立ち上げて顧客が増えてくると、さまざまなフィードバックが得られるようになります。そのフィードバックは、製品やビジネスの改善や、より多くの潜在顧客にアピールする手法につながるかもしれません。
3. 収益性を探る
収益性は、売り上げから経費を引いて黒字になれば大丈夫ということではなく、もう少し複雑なものです。
たとえば、オリジナル調味料を1本2,000円で販売するとしましょう。製造と出荷に500円かかるとすると、1本あたりの利益は1,500円です。この状態だと顧客獲得に使える資金が十分とはいえません。また、ほかの支出も考える必要があります。
収益性を上げるためにできることは、たとえば以下のことがあります。
- 価格を高めに設定する
- 複数の商品をまとめて販売し、平均購入単価を上げる
- 小売業者向けに一括販売する
- 既存顧客に対してリピート購入をはたらきかける
- リピート注文を促すためにサブスクリプションを提供する
- 同じオーディエンスに販売できる新しい商品、収益率の高いサービスなどを追加する
新規ビジネスのネタを、現実的なビジネスへと昇華させるためには、収益性を具体的に数字で検証する必要があります。代表的な基準の例としては、以下のようなものが挙げられます。
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損益分岐点(BEP):倉庫や在庫といったコストを最低限カバーできる売り上げの水準です。次の式によって計算できます。
損益分岐点売上高=固定費÷{(売上高−変動費)÷売上高}
- リピーター購客率:顧客が再度商品を購入してくれる可能性(たとえばマットレスだと、可能性は低くなります)。「一定期間のリピート客数÷累計新規顧客数×100」で求められます。
- 顧客生涯価値(LTV):平均的な一人の顧客から期待できる全体収益額。
- 顧客獲得コスト(CAC):1人の顧客を獲得するための総コスト。顧客生涯価値が高いほど、新規の獲得コストに使える金額も大きくなり、初回注文の利益を少なく(またはゼロに)することも可能です。
優れたビジネスアイデアの場合、顧客を獲得するコストよりも顧客から得られる利益のほうがはるかに大きくなります。
4. マーケティング・宣伝方法を検討する
潜在顧客にアプローチするための広告、プロモーション、顧客獲得方法にはさまざまな方法があります。そのなかで重要なのは、繰り返し成果をあげられる手法を見つけることです。Facebook広告などを利用すると一時的にサイト訪問者は増えるかもしれませんが、常に成果をあげられるとは限らないことに注意する必要があります。
- 商品はオンラインで検索されていますか?新規ビジネスで解決しようとしている困りごと、あるいは商品を検索している人がどれくらいいるか、キーワード検索で見積もってみましょう。大きな需要があるようなら、SEO(検索エンジン最適化)戦略に投資して、検索結果の表示回数を上げることが効果的です。
- 販売代理店や協力企業は見つかりそうですか?B2B向け卸売の専用ページをサイト内に作っておけば、新たな販売経路が見つかるかもしれません。またはサンプルやギフト、カスタムオーダーなどを提供して、卸売のオプションがあることやそのアクセス方法を知らせます。
- 潜在顧客に影響を与えるインフルエンサー(クリエイター)、ブロガー、イベントなどがいますか?コミュニティの構築は長期的なメリットをもたらします。インフルエンサーなどと提携して、そのファン達に働きかける手段もあります。
- メーリングリストに勧誘するための割引、無料ギフト、ダウンロードなどを提供できますか?メールアドレスの獲得は、購入の次に重要な成果です。潜在顧客とのコミュニケーション手段を無料で取得できるためです。自社のウェブサイトに訪問者を集めるときに備えて、潜在顧客を取り込んでおくことができます。
- 顧客にSNSなどを通じて拡散してもらえますか?商品がSNSなどでおすすめとして共有しやすい(例:インスタ映えする)ものなら、購入後のサンクスメールなどで投稿を促し、新たな顧客獲得を目指すことができます。
こういったマーケティング手法を活用してビジネスを成長させている企業の好例として、Kurasu Kyotoがあります。
Kurasu Kyotoは、Shopifyを利用して自社ECサイトを運営し、コーヒー豆やコーヒー器具などを販売しています。ネットショップでのPRの他、以下のようなマーケティングを展開し、成功を収めています。
- YouTubeやInstagramを活用して、バリスタによるコーヒー抽出のテクニックや美味しく飲めるコツなどお得な情報を無料で発信。
- バリスタによるドリップセミナーの開催を企画し、サイトで宣伝。
- サイトに、B2B向け卸売り専用ページを設け、ホテル、レストラン、オフィスなどに卸売サービスを提供。

特にYouTube経由でネットショップを訪れる顧客は、以前に比べて10倍となり、売上向上に大きく貢献をもたらしています。
まとめ
今回の質問や確認事項を通して、ご自身のビジネスアイデアに少しでも確信が持てるようになれば幸いです。アイデアに確信が持てた後は、ビジネスプランを作成し、実現化への道をさらに一歩進めてください。
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よくある質問
ビジネスアイデアとは?
ビジネスアイデアとは、起業のきっかけとなるものであり、ビジネスを立ち上げる初めの一歩です。また、起業の過程でさまざまな意思決定を行う際に拠り所となるものです。
検討する価値のあるビジネスアイデアとは?
優れたビジネスアイデアは、社会問題や市場のニーズに応えるものであり、ビジネスの実現可能性・拡張性・収益性があり、自分の情熱や専門性を活かせるものです。たとえば、サステナビリティと利便性を兼ね備えたアイデアは、今日の環境問題に高い関心を寄せる消費者の関心を集めやすく、検討する価値があるといえます。
0円から起業はできますか?
ビジネスアイデアを実現する方法とは?
ビジネスアイデアを実現する方法は、まず市場調査を通して対象となる顧客を特定し、他社と差別化できる企業メッセージを決めることです。そして、製品概要や収益計画、集客方法などをまとめたビジネスプランを作ります。また、資金調達や会社設立の方法など諸々の具体的な手続きも検討しておく必要があります。
文:Harumi Miyabayashi イラスト:Pete Ryan