一昔前は、お金を保管してレシートを印刷するだけのレジ (キャッシュレジスター)が主流でしたが、現在は、多くの業界でPOSソフトウェアが搭載されたPOSレジの導入が進んでいます。
今回は、POSの役割や、POSのメリット・デメリットについて解説ます。
目次
POSとは

POSとは、商品の販売が行われた時点の情報を記録・管理する仕組みです。主に、レジを通して「いつ・どこで・何の商品が・いくつ・いくらで売れたか」といったデータを自動で収集し、データは売上分析・在庫管理・発注予測・マーケティング戦略などに活用されます。
POSはPoint of Salesの略で、日本語では「販売時点情報管理」と呼ばれ、販売情報を入力したり収集したりするシステムを言います。POS機能のあるレジPOSレジは1980年代から日本にも普及しはじめます
POSは、美容室やホテル、薬局、コンビニ、スーパー、飲食店など、様々な業界で使われています。例えば、ネットショップも持つ小売り店がネットショップと連携できるPOSレジを導入し、店舗での顧客情報や購買データをネットショップの販促やマーケティングに活用したり、オーダー商品も扱う専門店が複数の店舗間のオーダー情報を一元管理することで、スムーズな受注につなげています。
POSの主な機能
販売管理
POSは、売れた商品のデータや購入された日時がリアルタイムで記録します。この機能によって、日々の売り上げが一目で分かります。
蓄積された売上データを分析することで、販売戦略や人員配置の最適化もできるようになります。
また、POSは割引やキャンペーンの適応を自動化することができるため、手動で割引率を入れたり、期間限定の割引価格を期間が終わった後に変更したりする手間がいらなくなります。
さらに、現金だけでなく、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など複数の支払い方法にも対応しており、顧客の利便性向上にもつながります。
在庫管理
売り上げがあると在庫情報が自動で更新されるので、商品管理が簡単にできます。在庫をより正確に把握し、人気商品の在庫切れを予測することで、追加注文などの対応を事前にすることができます。
顧客データ収集・管理(CRM)
顧客の性別、年齢層、購入商品や来店履歴などを記録・分析することで、性別や年齢による商品の人気度や購入パターンを知ることができます。例えば、ある季節に特定の商品が売れている場合、将来同じ時期に在庫を多めに手配することで、在庫切れによる機会ロスを防ぐことができます。また、顧客に合った品揃えを保つことで、顧客満足度の向上にもつながります。
スタッフ管理
POSはスタッフごとの売上や操作履歴も記録できます。これにより、誰がどれだけ売り上げたか、またどの時間帯にどのスタッフが勤務していたかといった情報を勤怠やシフト管理と連携して把握することもできます。こうしたデータは、勤怠管理やスタッフ評価、不正防止にも役立ちます。
POSの種類
レジ一体型POS
スーパー、コンビニ、その他の一般的なお店で使われているレジ本体にPOS機能が内蔵されているタイプです。初期費用は50万円以上と高額で据え置き型のため持ち運びができませんが、必要な機能がすべて備わっています。
タブレット型POS(クラウド型POS)
iPad、AndroidタブレットやスマートフォンにPOSアプリをインストールして、端末上でPOSを操作できます。タブレットなので持ち運びができるため、テーブル会計が可能になったり、ポップアップショップでも利用できたりします。初期費用は数万円〜20万円ほどです。
セルフレジ型POS
顧客自身が商品をスキャンし、支払いまでを完了させるPOS。無人店舗よりも有人レジの補助として導入されることが多く、人件費の削減とレジ待ちの緩和に繋がるとされています。初期投資が比較的大きく、操作に慣れていない顧客への配慮が必要になるのがデメリットです。
POS導入のメリット
- 業務の効率化
- リアルタイムで在庫管理ができる
- データ分析ができる
業務の効率化
POSを導入すると、売れた商品のバーコードをスキャナーで読み取ったり機械的に登録したりするため、誰がやっても簡単かつ正確に管理でき、人的ミスが減って業務の効率化ができます。
POSシステム登場以前は、人が手入力で帳簿をつけていました。帳簿をつける人によって商品名が違ってしまうこともあり、販売情報を見返した時に同一商品でも商品名が複数混在するため、情報を整理・管理する手間やミスが発生していました。
リアルタイムで在庫管理ができる
POSは、販売された商品の情報がリアルタイムで更新されるため、在庫管理が容易になります。システムによっては、在庫数が一定数を下回るとアラートで知らせてくれるものもあり、在庫切れによる機会損失の防止にも役立ちます。
店舗が複数ある場合、各店舗で集計した売上データをまとめて分析し、在庫が切れてしまった商品を余っている店舗から融通するなどの在庫調整も可能になります。これにより販売機会を最大化し、売上の向上に繋がります。
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データ分析ができる
POSの利用により、さまざまなデータをリアルタイムで収集し、詳細に分析することが可能になります。具体的には、どの商品がどの店舗でどれだけの量売れたのか、売れた具体的な曜日や時間帯、さらには顧客の年齢や性別に至るまで、幅広いデータを集められます。これにより、商品の販売状況の把握や顧客の購買行動の可視化ができ、今後のマーケティング戦略の策定に役立てられます。
たとえば、収集したデータをもとに特定のターゲットに対するキャンペーンを実施したり、タイムセールやクーポンを効果的に配布するといった戦略を展開するのにも有用です。
POS導入のデメリット
- 初期費用がかかる
- セキュリティ対策が必要
- 安定したネットワークが必要
初期費用がかかる
POSを導入するには、種類により数万円〜50万円以上の初期費用を必要とします。その後も、月額費用やメンテナンス費が発生します。
セキュリティ対策が必要
ネット通信で管理するPOSは、ウイルス感染やハッカーなどの攻撃を防ぐためのセキュリティ対策を強化しておく必要があります。ソフトウェアの費用に加えて、セキュリティ対策に関する費用や基本的な知識を身に付けておくことも必要でしょう。
安定したネットワークが必要
POSを導入するには、安定したインターネット接続が必要です。ネットワークエラーやソフトウェアの不具合が発生した場合、業務が一時的に停止するリスクがあります。オフライン対応やサポート体制の確認が必要です。
Shopify ユーザーならShopify POSが便利
Shopify POSとは、ShopifyのプラットフォームでデザインしたECサイトの売り上げや在庫などのデータと、小売店のデータをリアルタイムで同期できるアプリです。Shopify POSを導入すれば、スマホとアプリで簡単にポップアップストアの運営をすることができ、オムニチャネルの戦略を強力にバックアップしてくれます。
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POSについてよくある質問
POSレジとは何ですか?
POSレジは、POSシステムを搭載したレジです。POSシステムは、お店でお客様の支払いが完了した時点で売上データを記録するので、情報を簡単に取得することができ、業務時間短縮に役立ちます。
通常のレジとPOSレジの違いは何ですか?
通常のレジとPOSレジの違いは、POSシステムの有無です。一般的なレジ (キャッシュレジスター)には、POSレジに搭載されているようなデータ収集機能は搭載されていません。POSの利点は、売上データ、顧客データ、在庫状況のデータなどを活用して、将来のマーケティング業務に役立てられることです。
iPadやタブレットでPOSを使えますか?
POSシステムはiPadやAndroidタブレットにもインストールできるため、タブレットをPOSとして利用することができます。ターミナル型のPOSと比べると価格が低く、導入価格は無料から15万円ほどです。
Shopify POSとは何ですか?
Shopify POSは、Shopifyプラットフォームのユーザーが使用できるアプリで、オンラインストアの売り上げ・在庫などのデータと実店舗のデータをリアルタイムで同期してくれます。
POSのおおよその価格相場は?
機種にもよりますが、無料から100万円程度です。タブレット<パソコン<ターミナルの順に相場が高くなります。また、POSのほかに周辺機器代がかかる場合があります。
POSには無料のものもありますか?
POSには、自前のタブレットに専用アプリをインストールして使用することで、無料で利用できるものもあります。ただし、無料版は使用できる機能が制限されている場合があるため、使いたい機能が利用できるか事前に確認が必要です。
POSレジの導入費用は?
POSシステムの導入費用には、主にデバイスやソフトウェアなどの購入費である「初期費用」と、運用費である「月額費用」があり、金額は導入するPOSレジの種類によって無料から100万円ほどまでと大きく異なります。
デバイスやソフトウェア以外にも、レシートプリンターやロール紙などの周辺機器を用意する場合はその費用も発生します。また、ネット回線を必要とするため、新たに回線を引く場合は工事費も念頭に置く必要があるでしょう。IT導入補助金などを活用して導入費用を抑えることも可能です。