Shopify(ショッピファイ)のショップ管理システムは、アプリを利用することでeBay(イーベイ)と連携させることができます。eBayは、取引高が732億ドル(2024年3月時点)にものぼる世界最大級のECサイトです。eBayと連携すれば、これまで海外に展開していなかったショップもスムーズに越境ECを始めることができるでしょう。マーケティングに高額な費用をかけることなく、1億人を超えるユーザーにアプローチできるオムニチャネルの販売戦略も実現可能です。
この記事では、ShopifyとeBayを連携させるメリットのほか、連携に必要なアプリについて解説します。eBayでの出品を視野にいれている人は参考にしてください。
ShopifyとeBayを連携させる3つのメリット

1. ShopifyとeBayの在庫を一元管理できる
ShopifyとeBayを連携させることで、注文状況や在庫数などもShopifyの管理画面で確認できるようになります。双方のプラットフォームを接続する連携アプリを利用すれば、商品情報を自動で同期することも可能です。個別に商品データのアップロードや管理を行なう必要がないため、二つのショップを運営することになっても手間が大幅に増えることはありません。受注管理システムも個別に導入する必要はなく、在庫管理もリアルタイムで双方のプラットフォームに同期できるため「注文したのに品切れだった」といったマルチチャネル販売を行う際にありがちな販売機会の損失も防げます。
さらに、アプリによっては配送や売上などの注文管理に関わる業務も、Shopifyの管理画面に統合することができます。
2. より多くのユーザーにアプローチできる
世界190か国で使われているeBayを活用することで、より多くのユーザーにアプローチできます。また、Shopifyで構築したネットショップに、eBayのユーザーが流入することも考えられます。集客経路が増えれば、プラットフォームごとに異なる時期にキャンペーンを展開して売れ行きのピークを補完するといった戦略を取ることも可能になるでしょう。
こうしたマルチチャネルのアプローチによって多くの顧客を獲得できるため、売上アップが期待できます。
3. 越境ECを始めやすい
ShopifyとeBayを連携させれば、簡単に越境ECをスタートさせることができます。今までアプローチできなかった海外エリアからの集客や販促活動をeBayが担うためです。
一方、Shopifyも越境ECに対応できるようにさまざまな機能を備えています。たとえば、ユーザーの設定言語に合わせて商品の説明文やカート画面を自動的に適用させる機能や、日本では一般的に使用されていない決済手段への対応、各通貨への自動換算機能などがあります。対応できる言語は50以上、通貨は130以上のため、世界中のさまざまな地域をターゲットに海外販売を始めることができます。
ShopifyとeBayを連携する方法

Shopifyには、Shopify Marketplace Connect(ショッピファイ・マーケットプレイス・コネクト)という連携アプリが用意されています。ここからは、Shopify Marketplace Connectの特徴と設定方法について解説します。
Shopify Marketplace Connectとは
Shopify Market Connectは、Shopifyが開発したマーケットプレイス連携アプリです。Shopifyの管理画面から直接、設定や操作を行うことができ、eBayをはじめAmazon(アマゾン)やEtsy(エッツィー)などの世界で人気の高いマーケットプレイスと連携することができます。翻訳されていないため、日本語で使用することができませんが、日本国内でも問題なく機能します。商品や出品、注文、在庫に関する情報をリアルタイムで同期できるため、管理に手間取ることはありません。通貨の自動換算機能も備えているため、海外ユーザーの多いマーケットプレイスも問題なく使用できるでしょう。
利用料金については、毎月50件までの注文は無料ですが、50件を超えた分の追加注文1件ごとに1%の手数料が発生します。ただし、上限は月額99ドルです。
基本的な設定手順
- Shopify Market Connectをインストール
- Shopifyの管理画面>「設定」>「アプリと販売チャネル」をクリック
- 「Marketplace Connect」>「アプリを開く」をクリック
- Marketplace Connectアプリの「設定」をクリック
- 「eBay」>「アカウントを連携する」を選択
- 指示に従って連携を完了
- 「Marketplace Connect」>「設定」から出品やマッピングなどを設定
Marketplace Connectの設定にある「新規リスティング」の「管理」では、以下の操作を行えます。
価格調整:
Shopifyの商品データをもとに、eBayへ出品する際の増減率や端数処理といった価格ルールを設定できます。
在庫調整:
eBay上で表示される商品在庫をどのくらいにするか、Shopifyに登録されている在庫数をもとに自動計算できるルールを設定できます。
配送:
eBayに注文が入った場合の配送方法をあらかじめ選択しておくことができます。
返品ポリシー:
返品可能期間や返金方法、返品時の配送料の負担などを設定できます。
自動分類:
商品のeBayカテゴリーを手動で設定するか、自動的に分類するかを選択できます。
商品の自動リスティング:
アプリ内で設定したデフォルト値で、商品を自動的にeBayへ掲載するかを選択できます。
その他のShoipfyとeBay連携アプリ

1. CedCommerce eBay Integration
Ced Commerce eBay Integration(セドコマース・イーベイ・インテグレーション)は、Shopifyで構築したストアとeBayへ一括出品できるアプリです。ShopifyとeBayの注文や在庫をほぼリアルタイムに自動で同期できるほか、出品時の商品データをテンプレート化する機能や通貨を自動で換算する機能も備えています。
プランには、無料のものと有料のものがあります。無料プランでは、毎月最大100件までeBayに出品できます。有料プランには三種類あり、高価なプランほど出品できる商品数が増加します。最安値のブロンズプランであれば月額9ドルで1,000件までの出品、最高値のゴールドプランであれば月額89ドルで100,000件までの出品が可能です。
有料プランであれば、無制限で複数のeBayアカウントを一つのShopifyストアに紐づけて統合管理できます。さらに、シルバー以上のプランでは専任のアカウントマネージャーによるサポート(英語)も受けられます。無料でも一部のサポートは利用できるため、コストを抑えて使いたい場合は無料プランを、手厚いサポートを受けたい場合はシルバー以上のプランを検討するとよいでしょう。
2. eBay Importer by InfoShore
eBay Importer by InfoShore(イーベイ・インポーター・バイ・インフォショア)は、eBayの出品情報をShopifyにスムーズに取り込むことができるアプリです。すでにeBayに出品しているのであれば、特に有用なツールといえるでしょう。商品画像やバリエーション、出品データを自動でインポートできるほか、価格設定やカテゴリー、説明文のテンプレートをビジネスに合わせてカスタマイズすることも可能です。
プランには無料のものと有料のものがあり、月額19.99~59.99ドルの有料プランではインポートできる商品数が最大で月間5,000件に増え、在庫や価格を同期する機能を使えるようになります。機能を確かめるために、まずは無料プランを使用して、有料プランに切り替えるべきかどうかを判断するとよいでしょう。
まとめ
ShopifyストアとeBayを連携させることで、在庫や注文情報を両方のプラットフォームで一元管理できるようになります。手間を抑えて複数のマーケットプレイスで商品を展開できることから、オムニチャネルのアプローチによる売り上げの向上を期待できます。また、世界各国にユーザーを抱えるeBayを通して、越境ECの展開も実現しやすくなるでしょう。
eBayと連携できるアプリは、Shopifyが開発したShopify Marketplace Connectをはじめ、外部アプリも複数あります。それぞれの特徴や月額料金を比較したうえで、自分のショップに最適なものを選びましょう。eBayで出品している方はもちろん、Shopifyで構築したショップの販路を拡大したいと考えている方は、この記事を参考にアプリを使ってeBayとの連携を進めてみてください。
よくある質問
eBayとは?
eBayはアメリカを中心とする世界190か国で展開されている世界トップクラスの規模のECサイトです。日本語で問い合わせができたり、無料で使えるマニュアルを参考にしたりすることができるため、英語が苦手な人でも簡単に越境ECを始められる利点があります。
ShopifyストアをeBayに連携させるとどんな機能が使える?
ShopifyストアとeBayを連携させることで、在庫や注文を一元管理できます。アプリによって利用できる機能は異なりますが、リアルタイムで注文情報や在庫を簡単に同期できることが主なメリットです。
ShopifyストアとeBayの連携方法は?
Shopify Market ConnectやCedCommerce eBay Integration、eBay Importer by InfoShoreなどのアプリを活用して連携することが可能です。基本的には該当するアプリをShopify app storeからインストールして、初期設定を完了させると利用できるようになります。
文:Yukihiro Kawata