NSWは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて社会と企業の持続的成長を実現するITソリューションプロバイダーです。SIerとしての総合力と、自社データセンターを基盤としたインフラ構築は、同社の大きな強みとなっています。
特にEC事業においては、20年以上の実績と150社以上の豊富な構築経験を持ち、カスタマイズ開発から周辺システムとの連携まで、包括的なソリューションを提供してきました。近年は、データマネジメント領域にも注力しており、データの活用や基盤の構築においても高い評価を得ています。
NSWでEC支援事業を手掛ける営業統括部第一営業部 サブリーダーの太田一生氏は「私たちはDX推進パートナーとして、クライアントが直面する課題を解決することに全力を尽くしています。そして、その結果として、提供したソリューションが業界全体や地域社会にも良い影響をもたらすことを目指しています」と語ります。
しかし、ECビジネスを取り巻く環境は急速に変化しており、そのスピードに対応することが重要な課題となっていました。従来の長期開発プロセスでは、この急速な変化への対応が困難な状況でした。この課題を解決するため、NSWはShopifyとの戦略的提携を実現しました。この提携により、新規ECビジネスの立ち上げを目指す企業に対して、より迅速かつ効果的な支援を提供しています。
【Shopifyとの連携による成果】
迅速なEC構築:開発期間の大幅な短縮による迅速な市場投入。
柔軟なカスタマイズ:Shopifyの豊富な機能とアプリで柔軟なカスタマイズ。
グローバル展開の促進:クライアントの海外進出をスムーズに支援。
今回は、NSWのEC事業に関わるキーパーソンたちに、Shopify連携の背景や具体的な効果、さらには今後の展開と可能性について詳しく話を聞きました。
課題:変化への対応と迅速な開発の実現
NSWは、大規模開発に強みを持つSIerとして、ウォーターフォール開発手法と堅牢なインフラ構築を得意としてきました。特に消費者向けECサイトにおける突発的なアクセス増にも対応できるインフラ構築力は、同社の強みの一つです。開発からインフラまでをワンストップで提供できる総合力が、これまでの成功を支えてきました。
しかし近年、市場環境の急速な変化とニーズの多様化が進む中で、特に新規事業としてECサイトを立ち上げようとするケースにおいて、従来の手法では十分な対応が困難な状況が生じていました。
NSW営業統括部第一営業部 副部長の飯塚雅也氏は「1年から1年半という開発期間に、消費者の嗜好や競合商品の変化、物流コストの高騰など、市場環境が変化してしまう点が課題でした。本来であれば早期にECサイトを立ち上げて市況の変化に対応すべき案件において、当社の強みを十分に活かしきれない部分がありました」と明かします。
特に従来型のECプラットフォームでは、基本パッケージ以外の多くの機能がカスタマイズ開発を必要とし、ECビジネスの迅速な立ち上げを望む企業のニーズに応えられない状況がありました。
また、システムの柔軟性と拡張性にも制約があり、クライアントの多様化するニーズに対して十分な対応が難しくなっていたのです。このような課題は、急速に変化するECビジネス環境において、より一層顕在化していました。
解決策:Shopifyとの協業で実現したアジャイル開発
ECビジネスの環境変化に対応するため、NSWはShopifyとの戦略的提携を選択しました。Shopifyのプラットフォームによって、豊富な機能やアプリを活用しながら、必要な機能を順次追加していくアジャイル型の開発が可能となり、迅速なサイト立ち上げを実現できます。
この提携の主なポイントは、Shopifyの持つ圧倒的な構築スピード、機能やアプリを組み合わせたアジャイル開発、容易な海外展開、そしてShopifyによる先端技術への巨額な開発投資です。飯塚氏は、提携の背景について「年間2,000億円を超える開発投資による機能改善への期待や、強固なインフラ基盤がSaaSで提供されていることが非常に魅力的でした。お客様と当社の開発メンバー双方にとって将来的な期待値や安心感が高いと判断し、提携を決定しました」と明かします。
特に注目しているのがアプリの充実度です。NSWビジネスイノベーション事業部マーケティングマネージャーの小河原智氏は「日本のマーケットに適したアプリが豊富に揃っている点に驚きました。配送面でヤマト運輸と連携できるアプリなど、日本の顧客ニーズに応じたアプリ開発が進んでいる点が非常に優れていました」と評価しています。
また、越境ECをはじめとする海外展開を目指す企業のニーズに対しても、Shopifyの機能を活用することで円滑に対応できます。飯塚氏は、「各国に対応した海外展開機能の充実度は、従来のパッケージとは一線を画しています。すでに多くの導入実績があり、実用性と効果が実証されていました」と語ります。
結果:苦手分野を強みに変えた戦略的パートナーシップ
NSWとShopifyの戦略的提携は、両社とクライアントに大きな成果をもたらしています。特筆すべき成果を以下にまとめます。
迅速なECサイト構築:
開発期間の大幅な短縮により、迅速な市場投入が実現しました。従来の長期的な開発プロセスでは十分に発揮できなかったNSWの強みであるデータ活用力が、迅速なEC立ち上げとその後の継続的な改善を通じて最大限に活かされるようになりました。
さらに、アジャイル開発手法の導入により、市場の変化に柔軟に対応しつつ、クライアントの個別ニーズに応じた迅速なサイト構築が可能となり、NSWが誇る包括的なサポート体制をより効果的に提供できるようになりました。
柔軟なカスタマイズ:
Shopifyの豊富な機能とアプリを活用することで、クライアントの個別ニーズに柔軟かつ迅速に対応が可能となりました。特にShopify日本法人のサポート体制について、飯塚氏は「パートナーセールス、エンジニア、マーケティング担当など、場面に応じて様々なスペシャリストによるサポートが得られる点を最も高く評価しています」と語ります。
グローバル展開の促進:
Shopifyの海外対応機能により、クライアントの海外進出をスムーズに支援できるようになりました。特に、海外展開を目指す企業に対しては、柔軟なシステム構築と運用の支援を通じて、NSWの実績と信頼性が発揮されています。
今回の連携を振り返り、飯塚氏は「Shopifyとの提携がなければ、新規EC事業への参入や変化の激しい市場環境への対応は、私たちの苦手な部分として改善されない課題のままとして残っていたでしょう」と断言します。
SIer業界の懸念を払拭するShopify活用戦略
Shopifyとの提携によって、顧客企業に多くのメリットを提供できるようになりました。一方で、SIer業界では、顧客がShopifyを導入することによって大規模なカスタム開発が減少し、受注金額が減ってしまうのではないかという懸念の声もあります。しかし、飯塚氏は、この考えに異を唱えます。
「売上目標は当然ありますが、私たちが重視しているのは、お客様との長期的なビジネス関係の構築です。特に新規事業では、スモールスタートから段階的にニーズにフィットさせていくアプローチが重要だと考えています。従来型の長期間にわたるウォーターフォール開発で大規模なカスタマイズを行い、市場の変化に対応できず、お客様の満足が得られないという状況こそが最も避けるべきシナリオです。我々のお客様への満足度向上という観点から、Shopifyを基盤としたアジャイル開発は今後不可欠なアプローチとなるでしょう」(飯塚氏)
また、NSWの特徴は、EC構築にとどまらず、データ基盤開発への展開や、ECで得た知見を他のビジネスに活用する総合的な支援にあります。そのため、Shopifyを活用することで顧客との関係が強化されることを期待しています。
NSW太田一生氏は、「Shopifyでのサイト構築は始まりに過ぎません。そこから派生するビジネスロジックに我々がどれだけ深く関与し、お客様との協創を実現できるかが重要です。むしろ、Shopifyを通じてお客様の満足度を高めることで、他のシステム案件への展開も期待できます」と確かな手応えを示しています。
両社の強みを活かしたシナジー効果への大きな期待
今後の展開について、NSWは両社の強みを活かしたシナジー効果に大きな期待を寄せています。Shopifyの充実した「開発投資」「豊富な機能・アプリ」「強固なインフラ」に、NSWの「プロジェクト管理能力」「他社システムとの連携経験」「大規模開発案件への対応力」を組み合わせることで、より高い価値提供を目指します。さらに、NSWのデータ基盤開発力を活用することで、総合的なソリューション提供が可能になると考えています。
また、同社は今後、ユニファイドコマース領域の強化も視野に入れています。「実店舗の重要性は今後も変わらない」という認識のもと、ECに加えて店舗を含めた包括的なマーケティング支援の展開を計画しています。飯塚氏は「この分野を新たな成長領域と位置付け、データマネジメントの知見を活かした幅広いマーケティング支援の提供を目指しています。この点においても、Shopifyのユニファイドコマース機能が期待できます」と語ります。
最後に、NSW営業統括部第一営業部 リーダーの樋口証氏は「私が担当している顧客の中には、10年以上にわたりお付き合いをしている方が複数存在しています。それは、エンジニアや営業担当者が日々積み重ねてきた努力の賜物です。私たちは品質の高い仕事を通じて顧客満足を追求し、長期的な関係を構築することを目指しています。Shopifyの高品質なECプラットフォームは、これからの10年間のクライアントとの関係を築く重要な基盤になると期待しています」と、今後の展望を示しました。